PASSION02

 

バスタブの中で、ハリーはセドリックのしなやかな肢体を見ていた。

同じ男であるハリーが見ても、均整の取れたその身体に見惚れてしまう。同時に、欲情を覚えてしまう淫乱なハリーの思考。

‥抱いて欲しい。本当は、毎日だって抱かれたい。繋がっていたい。そんな自分の狂った思考に、ハリーは自分で苦笑した。

いつから自分は、こんなに淫乱になってしまったのだろう。付き合い始める前、片思いだった頃は目が合っただけでドキドキしてしまうくらいに、純情だったはずなのに。いつからこんなに、淫乱で、はしたない獣に成り下がってしまったのだろう。それは決して、嫌な事ではないのだけれど、やっぱりおかしい。普通じゃない。

「‥‥どうしたの?疲れた?」

ぼんやりと自分を見詰めるハリーに気付いて、セドリックが声をかけた。

「うぅん‥平気‥‥」

ハリーは緩やかに首を横に振り、微笑んだ。そのまま、セドリックへと甘えた仕草で腕を伸ばす。セドリックは、優しくハリーの身体を抱きとめた。

二人はそのまま吸い寄せられるように口付けた。ゆっくりと、味わうように淫猥に動くお互いの舌。

絡み合う舌に誘発される様に、お互いの腕が、これ以上無いくらいの繋がりを求めて抱き締めあう。

「んっ‥はぁ‥‥んん‥」

広い浴室の中に響く、甘い吐息。

セドリックはそのまま、ハリーの身体を抱き上げて、バスタブの淵に座らせる。

 

「ちゃんと、掴まっていてよ?」

そう言って、自分はバスタブの中に膝をつき、大きく足を開かせたハリーの太腿に唇を寄せた。

「んっ‥やっ‥セドリ‥ック‥‥怖い‥」

不安定な体勢に、ハリーはセドリックの肩に両手を置き、一生懸命に自分の身体を支えながら、ハリーが鳴いた。快楽と、不安とが入り混じった鳴き声。

「大丈夫‥僕に掴まって、離しちゃ駄目だよ?」

くすくすと笑って、セドリックはハリーの日に焼けていない内腿に、赤い花を散らす。

「‥んうっ‥ふぁ‥ああぅ‥」

ハリーは、与えられる刺激にガクガクと身体を揺らしながら、身体を前屈みにして、セドリックの肩に置いた手に力を込めた。

セドリックの愛撫は、優しく的確に、ハリーの中心へと移動していく。程なく、立ち上がりかけている幼い欲望に辿り着き、躊躇い無く唇で包んだ。

「‥‥ひぃあんっ‥ああっあっ‥」

セドリック唇に先端を包まれた途端に、ハリーの身体が大きく揺れて、甘い嬌声があがった。その反応を楽しむ様に、セドリックの舌がハリーの先端を執拗に嬲っては、甘噛みを繰り返した。その度に、ハリーの身体は従順に反応する。

幼いながらも、男性の欲望を備えたハリーの自身は、与えられる快楽に抗える程成熟してはいない。快感を貪る事以外に、愛撫への反応の仕方を知らない。

ハリーの自身が固く形を成す頃合を見計らって、セドリックは飲み込むような勢いでハリーを喉の奥まで咥え込む。その状態で喉をゴクリと動かすと、ハリーの身体が大きく反り返った。

「ああっ‥あっ‥駄目ぇ‥セドっ‥そんな‥‥しちゃ‥駄目っ‥」

セドリックの剥き出しの肩に、爪を食い込むくらいに強く立て、ハリーが泣きながら腰を揺らす。

そんなハリーの切ない哀願に構わずに、セドリックは喉の奥に当たるハリーの先端から、快楽を絞り出す様に喉を何度も蠢かせる。同時に、血管の浮き出た裏筋を、舌で舐め上げた。

「あっん‥もっ‥出るっ‥‥イっちゃうぅっ!!」

悲鳴のような声を上げて、ハリーはセドリックの喉の奥へと、精を吐き出す。セドリックは、目を細めて笑い、ハリーを咥えたままでソレを飲み干した。

ドクンドクンと、断続的に吐き出され続けるハリーの白濁の液を、セドリックは美味しそうに何度も嚥下し、舌先で固さを失ったハリーの自身を舐め上げ、愛撫を繰り返す。

「んん‥ぁ‥‥ヤダぁ‥もう、離してぇ‥‥こんなの‥ひどい‥よぉ‥」

射精後も、自身を中々開放してくれないセドリックに、ハリーは涙をぽろぽろと零して肩を震わせた。

 

「‥‥どうして?気持ち良かったでしょう?」

ハリーの何度目かの哀願に、ようやくハリーを開放したセドリックは、ハリーの身体を抱き寄せて耳元で囁く。ハリーは泣きながら嫌々をして、両手で顔を覆った。

「う‥っく、‥ふぅ‥うぇ‥」

表情の見えないハリーの指の間から、泣き声だけが零れた。

「‥ハリー?僕が嫌だった?」

セドリックの問いに、ハリーは泣きながら首を振った。

「‥‥やっ‥じゃな‥い‥」

言葉を肯定する様に、セドリックの身体に縋り付く。そのまま、幼子の様にセドリックの背に回した腕にぎゅっと力を込めた。

「‥‥ごめん、怖かったよね?」

そんなハリーを、優しく、しっかりと抱きとめてセドリックはあやすように何度もハリーの背を撫でた。

セドリックの問いに、ハリーは「違う」と何度か抵抗を見せていたが、セドリックが背を撫でるうちに、小さく一度コクンと首を縦に動かした。

「‥‥意地悪‥」

泣き止んだハリーが、セドリックに身体を預けながら、ぼそりと悪態を吐く。セドリックはそれを黙って受け止めた。

「ごめんね?」

確認をする様にそう言って、セドリックはハリーの唇に、自分の唇を重ねた。

 

「‥‥寂しかった‥」

長い長いキスを終えて、少しぐったりした様子で、ハリーはセドリックの肩に凭れ掛かるようにして、甘えた。

「‥ハリー?」

少し掠れた声のセドリックが、ハリーの名を呼ぶ。

「セドリックが、僕を捨てるんじゃないかって‥ずっと不安だったんだ‥‥もぅ、僕に飽きてしまったのかと‥」

ハリーが言い終わらない内に、セドリックが笑い出す。

「‥‥まさか‥ハリーを捨てるだなんて‥そんな勿体無い事するわけないじゃない?」

「勿体無い?‥何?それ?」

セドリックの言葉の意味がわからず、ハリーが首を傾げる。

損得勘定のみの感情で、セドリックが自分を「モノ扱い」しているのかと、少し不安になってしまう。

「長い事片思いをして、ようやくハリーが僕のものになってくれたのに、手放すなんて‥僕には出来ないよ‥」

くすくすと笑いながら、セドリックはハリーの細い身体を強く抱き締めた。

耳元で甘く囁かれて、ハリーは嬉しそうに顔を歪める。

「‥‥良かった‥」

ハリーは、安堵したようにそう言って、セドリックの首に腕を絡めて、抱きついた。

そんなハリーのわかり易い反応に、セドリックは満足気に微笑んだ。

 

「のぼせちゃうから、一度栓を抜くよ?」

そう言って、ハリーの返答を待たずにセドリックは、バスタブの栓を抜いた。勢い良く流れ出て下がっていく水位を、ハリーはぼんやりと見ていた。

「ねぇ、セドリック?」

「ん‥?何?」

ハリーを向かい合わせの格好で抱き締めたまま、バスタブの底に座っていたセドリックが、密着していた身体を少し離してハリーを覗き込む。その顔に、蕩けるような笑みを称えている。

「‥‥好き‥」

そんなセドリックに、にっこりと微笑んで、ハリーはちゅっ、と可愛らしくセドリックにキスをした。

「すごーく、好き‥だーい好き」

子供の様に甘えた仕草で、セドリックの背に細い腕を絡めていく。

再び密着したお互いの身体。ハリーは、確かめるようにセドリックの身体を自分の方へと抱き寄せた。

「‥‥どうしたの?‥まだ寂しい?」

可笑しそうに喉の奥で笑って、セドリックが問うとハリーは素直にコクンと頷く。

「だって‥セドリック、かっこ良いんだもん‥‥」

全裸で抱き合って、何度も情事を重ねた後に、そんな事を言うハリーが可笑しくて、セドリックは声を上げて笑う。

他の人‥特に、名前も知らないような女の子に良く言われる台詞。恋人であるハリーには、面と向かって言われた事などない台詞。セドリックは、自分の顔があまり好きではなくて、軽くコンプレックスになっていた。なのに、どうしてだろう?ハリーに言われると、凄く嬉しい。

「‥‥何言ってるの?ハリー、僕の愛を疑ってる?」

意味深に微笑んで、セドリックの唇の端がいやらしく歪む。普段は見せない、セドリックの誠実さの仮面を脱いだ表情。こんな顔が見られるのも、ハリーの恋人としての特権。

「‥‥‥だって、抱かれ足りない‥‥‥僕を放っておいて、セドリックは平気?」

縋るような瞳を向けて、ハリーはセドリックを見上げる。この表情が、セドリックを煽る事をハリーは知っている。

(困った子だね、ハリー?‥そんな風に僕を煽ったら、止まらなくなってしまうよ‥)

「平気だと思うの?」

怖いくらいに妖艶に微笑んで、セドリックはハリーの細い身体をバスタブの中に押し倒した。

「‥‥平気じゃなかった?」

潤んだ瞳でセドリックを見上げて、ハリーは肩を震わせた。

「教えてあげるよ‥いっぱい‥‥ね」

そう言って、セドリックはハリーの鎖骨に顔を埋めた。

 

「あっ‥ん‥‥あっあっ‥セドリック‥セドリックぅ‥」

セドリックの愛撫に溺れながらも、ハリーは何度も切ない声でセドリックの名を呼ぶ。まるで、消えてしまう事を恐れているように。

そんなハリーの様子に、セドリックは嬉しそうに笑う。

「ひゃっ‥ああんっ‥‥あんっんあ‥‥セドっ‥」

セドリックの愛撫が、胸の突起に触れるとハリーの口から、一際高い嬌声が上がった。

「‥可愛いね、こんなになって‥ハリーの身体が、僕を好きだと言ってるよ?」

ハリーの胸の突起を、その長い指で強く摘み上げて、セドリックが笑う。快楽に彩られた、少し狂った笑い声。

うっとりと瞳を細めて、ハリーは酔ったようにその声を聞く。快感を欲して止まないハリーの脳に、セドリックの言葉と笑い声が、愛撫以上の快感をもたらす。

「んっ‥痛ったぁ‥いぃ‥ひっ‥‥あんっあっ‥」

流れきらなかった泡が残るバスタブの底に背中を預け、ハリーは首を何度も振った。セドリックの少し手荒な愛撫に、自分の指を咥えて悩ましげな表情を晒す。

「あっ‥あっ‥あはっぁ‥セドリックぅ‥もっと‥」

時折、涙目でセドリックを見上げては、更なる快楽を貪欲に求めて止まない。

「痛いのが‥好きなの?」

片手でハリーの胸の突起を弄りながら、もう片方の手をハリーの頬に添え、セドリックはハリーの顔を覗き込んで聞いた。

「‥‥違う‥けど‥‥触って、‥もっと、‥僕が、セドリックの感触を忘れられなくなるように‥お願‥」

愛撫に揺れて、あまり焦点の合っていない視線で、ハリーはセドリックに哀願する。

貴方に、ずっと抱かれていたい。

僕には、貴方しかいないから。

壊れるくらい、抱いていて。

セドリックは、自分を求めて泣いているハリーを、楽しげに見詰めて笑う。

「‥可愛いハリー‥‥大好きだよ‥」

そう言って、セドリックはハリーの唾液で濡れた赤い唇に、何度もキスをした。

 

「ああっ‥あん‥あっ‥やっ‥‥ひゃああぁ‥」

密度の濃い濡れた空気の中に、ハリーの嬌声が響いて消える。

バスタブの中に四つん這いになり、腰を後ろに突き出すような格好で、ハリーはまるで神への捧げ物の様に、自分の身体をセドリックに差し出していた。

セドリックは、そんなハリーの細い腰を掴み、腰を何度も深く突き入れては、ハリーを鳴かす。

二人の間からは、ぐちゃぐちゃと卑猥な音が絶えず響き、二人の快楽を更に深みへと堕としていく。

「‥‥こんなに締め付けて、中を熱くして‥いやらしいねハリー」

意地悪く言うセドリックの言葉を、ハリーは聞いていないのか、瞳を閉じて快楽を追う事に夢中になっている。

「ここがこんなになって‥わかる?ハリー‥こんなに濡れてる‥」

ハリーを犯す腰を止めぬまま、セドリックはハリーの既に弾けそうなくらいに立ち上がっている自身を握り締めた。

途端に、悲鳴のような喘ぎがハリーの唇から零れ、白い背筋が痛々しいくらいに反り返る。

「ああぁ‥セドリックっ‥‥やっ‥イくっ‥イッちゃうからぁ‥‥握っちゃ‥嫌ぁっ‥あっ‥そんなっ‥しちゃ駄目っっ!!」

「どうして?‥ハリー、もっと‥気持ちよくなりたいでしょ?」

反った勢いのまま、ハリーの細い身体を抱き寄せて、耳元で囁く、セドリックの甘い声。たったそれだけの刺激で、ハリーの背筋にゾクリとした快感が走り、身体がビクビクと跳ねた。

「やっ‥‥っしょにっ‥一緒が良いっ‥セドリック‥と、‥‥あはぁっ」

激しすぎる快楽に、意識を飛ばしそうになるくらいに乱れて、それでもハリーの唇は意思のある言葉を紡いだ。

「‥‥どうしちゃったの?何で今夜はこんなに‥可愛いの?」

「ひぃあっ‥あぅ‥‥ああっ‥」

言葉と共に、セドリックはハリーの際奥まで自身の熱で埋め、同時にハリーの張り詰めた欲望を強く握りこんだ。

快楽と、痛みと、苦しみ。同時にハリーを襲ったその感覚は、最早理性で制御できる代物ではなく、ハリーの身体は白濁の体液を勢い良く吐き出した。体の奥に感じるセドリックの熱を、きつく締め上げて、ハリーは意識を手放した。

 

 

「‥‥‥あれ?セド‥?‥‥ここ‥」

深夜の深い時間に目を覚ましたハリーの視界に、見慣れた天蓋が映った。‥‥ハリーの記憶は、バスルームで止まっていて、自分が何故ここにいるのか覚えていない。

ハリーは首だけを動かして、自分の寝顔をずっと覗いていたらしいセドリックに、聞いてみる。

「‥うん、僕の部屋だよ‥」

まだ少し焦点の合っていないハリーの瞼に口付けながら、セドリックが微笑んで答えた。

「ごめんね、ハリー‥‥久しぶりだったから僕、歯止めが利かなくて‥まだ起きちゃ駄目だよ‥‥‥いや、起きられないかな?」

セドリックの口付けに、応えようと身体を起こしかけたハリーの両肩を掴み、ベッドへと押し戻しながらセドリックは苦笑する。

その言葉通り、上体を起こそうとしたハリーは、セドリックが押し戻すまでもなく、眉を寄せて再びベッドに身体を沈めた。

「‥‥ごめんね」

申し訳なさそうに表情を歪めて、セドリックがハリーの顔を覗き込む。ハリーが目覚めるまでの間、ずっとそうしていた。

「‥‥‥しぃ‥」

自分に労わるような視線を向けるセドリックに、ハリーは複雑な表情を浮かべて、憮然と呟いた。

「‥え?ハリー‥ごめん、もう一回言って?」

ハリーの態度から、自分への非難の声なのだろうと察したものの、肝心の言葉を聞き取る事が出来ずに、セドリックはハリーの顔に自分の顔を更に近付けた。そのセドリックの耳を引っ張り、ハリーは更に強引にセドリックを引き寄せた。

「痛てっ‥!!‥‥ハリー‥痛い‥‥」

多少の文句は覚悟していたが、まさかいきなり直接攻撃をしかけてくるとは予想していなかったセドリックは、目尻に涙を浮かべて、ハリーを見た。

怒ったように歪む、ハリーの顔。‥‥今夜の、強引で意地悪なセドリックの行為を相当怒っているみたいだ。

「悔しい!いっつも僕ばっかり、損してる‥!」

引き寄せた耳元に、ハリーは怒鳴った。

悔しい?損してる?‥それは、自分がセドリックに玩具みたいに弄ばれていると感じているから?

ハリーの言った言葉は、怒鳴ったせいではなく、セドリックの頭の中に木霊した。自分の強引で卑劣な行為を自覚はしているが、それは決してハリーが憎いからじゃない。増して、ハリーを弄んだ事など、セドリックは一度だってない。

「ハリー‥それは‥‥」

「五月蝿い!黙って!!」

困ったように口を開いたセドリックを睨みつけ、ハリーは再び怒鳴った。

 

セドリックのふざけた誤解に、ハリーは気付いていた。だから、怒った。そして、今度はその誤解を解こうと、一転して素直にセドリックを見詰める。猫のようにくるくると変わるハリーの表情を、セドリックはただ黙って見詰めた。

「僕は、‥ずっとセドリックと居たい、それこそ、ずっと抱き合っていたい、愛されたい‥‥なのに、僕はいつも不甲斐ない。貴方の愛に十分応えてあげられない‥‥悔しいよ‥好きなのに‥こんなに、好きなのに‥‥」

言いながら、ハリーはセドリックの首にしがみ付く。抱き付けない今の身体での、精一杯の愛情表現。

「‥‥‥ハリー?‥」

引き寄せられるまま、ハリーの上に腕立て伏せでもしているみたいな格好になったセドリックが、自分を抱き締めるハリーを困惑の表情で見ていた。

「謝らないで良いから‥ねぇ、セドリック‥‥僕を嫌いにならないで?子供だって、見限ったりしないで?」

ハリーのその言葉で、セドリックはようやくハリーの言いたい事が理解できた。

つまりハリーは、気を失った事が悔しいのだ。限られた時間の中で、気を失ってしまった自分が悔しかったのだ。‥と、気が付いた。

そんな事‥‥と、セドリックは思う。そうしてしまったのは、紛れも無い自分だし、ハリーを子供だなんて呆れた事は無い。

むしろ、自分の方が子供っぽい。好きな気持ちだけで、ハリーに無理をさせてしまっている。年上の、男として、恋人として、かなり情けない。

「‥勿論、‥‥ハリー‥僕はそんな薄情な男じゃないよ?」

逢えなかった間に、不安になったのはハリーだけじゃない。セドリックだって、ハリーに捨てられることを、ずっと危惧していた。

逢いたくて、抱き締めたくて、気が狂う寸前まで追い詰められて、ハリーを見た瞬間に、理性を手放してしまうくらい、好きで仕方がない。

「‥‥良かった‥」

嬉しそうに微笑むハリーに、セドリックは優しいキスを落とした。

何度も降ってくるキスに、ハリーはくすぐったそうに目を閉じて、声を立てて笑った。

「好きだよ‥‥ハリー‥好き‥」

キスの雨の合間に、セドリックは何度もハリーにそう伝えた。

「うん‥僕も‥‥好きだよ‥」

セドリックの言葉を受け取るハリーもまた、同じ様に何度もセドリックに「好きだ」と伝えた。

無邪気にじゃれあって、何度も触れるだけのキスをしては、笑う。二人が待ち望んでいた、恋人としての時間。

する事をしてしまってから、ようやく得られた安息。そんな自分たちの愚行に、獣の本性を垣間見てしまう。「好き」だから、抱き合いたい、でも、それだけでは嫌。いくら身体を繋げても、不安は消えない。それでも、情念の赴くままに快楽を求めてしまうのは、まだ幼さの残る思考ゆえ。

 

「ハリー‥灯りを消すよ?」

ようやく二人の気が済んで、仲良く並んでベッドに入ったのは、東の空が随分明るくなってから。

「うん‥‥‥ねぇ、セド?」

灯りを消して、ベッドに横たわったセドリックの身体に、必要以上に擦り寄ってハリーが甘えた声を出す。

「‥‥何?‥」

擦り寄ってくるハリーを抱き締めて、セドリックはハリーにキスをする。何度抱き締めても、何度キスをしても、まだまだし足りない。本当は、寝る時間だって惜しいくらいだ。

「‥ん‥‥あのね、‥‥セドリックって‥結構サディストだよね?」

可愛らしい笑顔で、ズバっと言われてしまった。

セドリックだって、多少の自覚はしていた。ハリーの可愛い泣き顔を見たいと思う自分。しかし、こうも面と向かって言われると、何だか気分的に複雑で‥思わず眉を顰めてしまった。

「あぁ‥そんな顔しないで?責めてるんじゃないの‥‥ただ‥僕、‥‥‥僕ね、そんなセドリックも、嫌いじゃない‥‥僕って変かな?」

少し恥ずかしそうに顔を赤らめて、照れたような仕草でセドリックを見上げるハリーに、セドリックは思わず圧し掛かってしまった。

こんな場所で、こんな台詞。誘っているとしか思えない。

「‥‥セド?」

突然のセドリックの行動に、驚いた顔で自分を見上げるハリーに、セドリックは蕩ける様な笑顔を向けた。

「‥‥愛してるよ‥ハリー、世界で一番君が好きだ‥」

施された口付けは、甘くハリーを狂わせる。

「‥セドリック‥‥」

嬉しそうに目を細めて、ハリーも微笑んだ。

恋人たちの限られた逢瀬は、密度の濃い時間。

沢山抱き合って、沢山キスをして、沢山「好き」だと伝える時間。

止め処無く溢れる情熱は、決して枯れる事は無い。

 

Ending to endress

 

ぇ‥と、こんなのですみません。

どうやら、セドハリの神様が少し早い夏休みを取っておられるらしくて、難産だった上に意味不明。最悪です(死)

せっかくの裏だと言うのに、不完全燃焼です(T_T)

ごめんなさい‥つっ次こそは‥‥(苦笑)

2004・07・29 みづきちよ

 

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