不眠
些細な事で貴方と喧嘩をした。
原因は、僕の嫉妬。
貴方はとても人気があるから、僕はいつも不安になってしまう。
僕は男で、貴方も男で、‥僕たちは許された関係じゃない。
臆病な僕は、貴方がいつ僕に飽きてしまうのかと、いつも不安になる。
「ハリーは僕を信じていない」
そう言って、貴方がこの部屋を出て行ってから、何時間も経った。
僕は、ここから動かずにいる。
貴方が戻ってくることを期待している訳じゃない。
ただ、今晩は眠れそうになかったから、ここに居る事に決めた。
悪いのは僕の方だ。
貴方の言葉を信じきれない。
貴方の‥セドリックの言う通り。
信じていない訳じゃない、‥僕は怖いんだ。
貴方を失ってしまうのが、怖い。
喧嘩をしてしまってから、いつも後悔をする。
これでもう、貴方に愛想を尽かされてしまったのではないかと‥大きな不安に苛まれる。
そして、眠れなくなるんだ。
眠れない夜は長い。
貴方のことばかりを考えてしまって、辛い。
眠れないのはわかっていたけれど、暗い部屋の中で僕は目を閉じた。
目を閉じて、強制的に視界を遮った僕の聴覚は、いつもよりも研ぎ澄まされた。
腕時計の秒針が動く小さな音や、窓の外‥森で鳴く梟の声が微かに聞こえる。
今が何時なのかはわからない。
この静けさから消灯時間は過ぎているんだろう‥と、僕はぼんやりと考えた。
目を閉じても、眠りは一向に訪れない。
眠るのに丁度良いはずの静けさや闇は、僕を眠りに誘ってはくれなかった。
相変わらず、聞こえてくるのは腕時計の秒針の音と、窓の外の森のざわめき。
ここは廊下の端にある、使われていない古びた資料室。
他に音を発するものは、何も存在しない。
ずっと前から、ここを僕たちが密会場所に使うようになる前から、ここには音が存在しない。
きっと、もうすぐ密会する僕たちも訪れなくなる。
ここは静かな空間に戻る。
いつからか、僕の嫉妬が引き起こす僕たちの喧嘩は増えている。
僕たちの関係はもう長くは無い。
僕が一番望んだ関係は、僕の手で壊れていく。
夜はまだ長くて、‥僕は眠れなかった。
不意に、廊下の向こう端から足音が聞こえた。
静寂に慣れた耳に、足音がやけに大きく聞こえた。
規則的に石の床を叩く靴の音が、だんだんとこちらへ近付いてくる。
緊張から、僕の胃が痛い。
見回りに来たフィルチだろうか?
だったら、僕が騒がなければ問題はない。
ここは、使われていない資料室。
僕がこのまま動かずに、目を閉じて静かにしていれば、通り過ぎてくれるだろう。
けれど足音は、僕が居る部屋の前でぴたりと止んだ。
そして、扉を開けて中に入ってくる足音。
胃が、キリキリと嫌な音を立てている。
耳の奥がジンジンと痺れた。
僕は物陰に座っているから、月明かりも無い暗い部屋の中で見つけられる事は無いだろう。
僕は目を閉じたまま、息を殺して身動き一つしなかった。
足音は迷わず僕の所へとやってきた。
そして、足音の主が僕を抱き締めた。
本当は最初の足音を聞いた時から、‥僕は気付いていた。
足音の主が誰なのかを、見なくても知っていた。
それに気付かない程、僕は薄情じゃない。
「‥‥‥ごめん」
足音の主が僕を抱き締めたまま、小さく呟いた。
その声に、僕は閉じていた目を開けた。
目の前には、大好きなセドリックの姿。
暗くて顔どころか、影しか見えない。
それでも、わかる。
貴方の匂い、仕草、足音、声‥全てを僕は知っている。
「‥貴方が謝ることじゃない‥」
自分でも驚くくらい、無機質な声が出た。
感情を押し殺していないと、貴方に縋り付いてしまいそうだった。
抱き締められて嬉しい筈なのに、胃の辺りが酷く痛い。
「‥ハリー‥」
僕の名前を呼ぶ貴方の声が、戸惑っている。
僕に呆れた?嫌いになった?
そう思ったら、限界だった。
胃の痛みを押し潰す様に、セドリックに縋り付いた。
セドリックの背に腕を回して、何度も、何度も「ごめんなさい」と言った。
貴方を困らせてばかりで、ごめんなさい。
貴方を怒らせてばかりで、ごめんなさい。
貴方を信じ切れなくて、ごめんなさい。
貴方を好きな気持ちを止められなくて、ごめんなさい。
セドリックは優しく僕の背に腕を絡めて、僕の身体ごと抱き締めてくれた。
それだけで、頑なに物陰に隠れようとしていた僕の身体から力が抜けていく。
「‥ハリー‥」
今度の声は優しかった。
「‥ごめんなさい」
僕は、さっきからこれしか言えない。
「‥ごめんなさ‥ごめん‥なさい‥」
声がだんだんと涙に濡れていく。
ああ、僕はなんて情けないんだろう‥貴方を自分で傷付けておいて、許して欲しいと泣いて請う。
自分で切りかけた糸を、必死で手繰り寄せている。
「もう良いよ‥謝らないで‥ハリー、泣かないで‥」
優しい掌が僕の背を撫でてくれる。
そんな貴方の優しさが、僕を駄目にする。
僕は貴方の優しさに甘えてしまう。
甘やかさないで。
僕が勘違いしてしまうから。
貴方が僕のものなのだと‥愚かな独占欲に負けてしまうから‥。
そして、堂々巡りになって、僕はまた眠れなくなるんだ。
貴方との関係が、壊れてしまうまで。
そう思ったら、涙が止まらなかった。
セドリックの唇が、僕の頬に落ちてきて、舌で涙を拭ってくれる。
何度も何度も、啄む様に‥。
その仕草に、優しさに‥、僕は貴方にどんどん溺れていく。
セドリックの頬に両手を添えて、僕からキスをした。
セドリックは少し驚いたみたいだったけれど、素直に受け止めてくれた。
僕は更に深い口付けを、セドリックに施す。
何度も角度を変えて、舌を絡めて、ついでに体重をかけてセドリックの身体を床に押し倒した。
「‥今夜は随分、積極的だね‥」
唇が離れると、セドリックはそう言って僕を抱き寄せる。
「僕は‥セドリックが好き、‥だから、嫌いにならないで‥僕の事‥何でもするから‥」
ずるい哀願。
卑しい僕の独占欲。
僕の言葉に、セドリックはくすくすと笑った。
「難しいな‥ハリー、君を嫌いになるなんて‥」
そう言って、セドリックは僕ごと上体を起こす。
そして意図的に、僕に自分の腰を跨がせて耳元で囁いた。
「僕はこんなにハリーが好きだよ?」
布越しに、硬いモノが僕のお尻に当たっていた。
ぞくりと背筋に、甘い痺れが走る。
「‥‥もっと、僕を好きになって‥‥僕だけを見て‥」
暗闇の中、絡み合った視線に熱を込めて僕はセドリックに縋る。
「いいよ‥ハリー、君の好きにしてごらん?‥」
セドリックの言葉に頷いて、僕はセドリックの首筋に唇を寄せた。
首筋にしつこいくらいにキスマークを付けてから、僕の手はセドリックの下半身へ。
ズボンのボタンとジッパーを外して、下着の中から既に大きくなっているセドリックの昂ぶりを取り出した。
魅入られた様に先端に舌を這わす。
セドリックの口から、吐息が漏れて、僕の髪に手が触れる。
僕は口の中に誘い込む様にして、ゆっくりと先端を口に含んだ。
セドリックの身体が、強張り、僕の髪をゆるく掴む。
気持ち良さそうなセドリックの仕草に、僕は一層丹念に愛撫をした。
貴方が僕に溺れてくれる様に、祈りにも似た劣情を抱えながら。
「‥ハリー‥もっ‥離して‥」
限界が近くなったセドリックが、僕にそう言ったのが聞こえたけれど、僕は無視した。
大きく張り詰めたセドリックの自身を、喉の奥まで銜え込んで愛撫を続ける。
程なくして、僕の口内に放たれた大量の液体を、僕は夢中で飲み込んだ。
いつも、セドリックが僕にするみたいに、一滴も残さずに飲み下した。
顔を上げると、少し暗闇に慣れた目に少し怒った顔をしたセドリックが映った。
「‥‥随分、可愛い事をするね‥ハリー?」
セドリックの声に、棘がある。
どうしてセドリックが怒っているのか、僕にはさっぱりわからない。
‥もしかして、下手だったのだろうか?
どうしよう‥嫌われちゃった?
一瞬にして、僕の顔に狼狽の色が浮かぶ。
「優しくしてあげようと思ってたのに‥ハリー、可愛すぎるよ‥反則だ‥」
そう言ったセドリックに、一瞬で体位を逆転される。
「‥?セドリック?‥」
訳がわからず、困惑している僕を無視してセドリックは乱暴に僕の衣服を脱がしていった。
露わになった僕の肌に噛み付くように何度も、唇を這わせ、吸い、歯を立ててくる。
「やぁ‥なんで‥‥あっ‥」
セドリックに、こんな風に乱暴に扱われた事は今までになかった。
いつだって優しくて、壊れ物を扱うみたいに愛してくれていたのに‥僕はそんなにセドリックを怒らせてしまったのだろうか?
快楽と恐怖に涙が止まらない。
「何て顔をしているんだい‥ハリー?」
散々僕の肌に鬱血の痕を散らして、胸の飾りに歯を立てて、激しい愛撫の合間にセドリックが僕に囁いた。
先刻とは明らかに違う仕草で、僕の涙を舌で拭う。
僕の眼鏡はとうに、床へ落ちている。
涙と裸眼のせいで、目の前にあるセドリックの顔の表情が読み取れない。
貴方はまだ、怒っている?
「僕に触れられるのがそんなに嫌?」
囁かれて、僕は首を横に振った。
「‥ぃや‥じゃない‥」
そんな僕に、セドリックがくすくすと笑った。
見えなくても、気配でわかった。
「‥嘘‥怖いんじゃない?」
セドリックはまだ笑っている。
僕は、首が取れるくらいに横にぶんぶんと振った。
本当は怖かった‥けれど、ここで怖いと言ったら益々嫌われてしまうと思って嘘をついた。
「嘘だ‥こんなに辛そうな顔をしている‥」
セドリックはもう笑ってはいない。
代わりに声色が、酷く悲しそうだ。
「‥ハリー、僕は‥そんな顔をした君を抱きたくはないよ?
我慢しないで、嫌なら嫌と、怖いなら怖いと、はっきり言ってよ‥」
「‥嫌じゃない‥」
僕は頑なに首を横に振った。
「僕はね、ハリーにとても執着してる‥他の誰にも渡したくは無い。
こんな表情も、姿も、僕以外に見せたくない‥いっそ、力任せに犯して監禁してしまいたい。
でも‥できないよ‥‥僕は、こんな辛そうな表情を見るために君を抱きたいんじゃない」
好きなんだ。
と、縋る様な声でセドリックが僕に囁いた。
「辛そうな顔で、僕のを銜え込むハリーなんか‥見たくないよ‥」
僕の身体から、余計な力が抜けていく。
僕が、愚かな打算を含んで貴方に接したから貴方は怒ったの?
僕が、貴方の気持ちに気付いていなかったから‥怒ったんだね。
「‥ごめん‥なさい‥」
僕はやっぱり、こんな言葉しか貴方に伝えられない。
「ハリー‥」
「僕も、セドリックが大好きだよ‥‥信じていない訳じゃない‥好きなんだ、貴方が‥好き」
涙と一緒に、僕は言葉を吐き出した。
「セドリックが好きだから‥嫌われたくないよ‥傍に居たいよ、‥」
「‥うん‥ハリー、僕もだよ‥」
僕を抱き締める腕は、とても優しかった。
「抱いて、めちゃくちゃに、壊れるくらい‥僕をセドリックでいっぱいにして‥」
キスの合間に、僕はセドリックにそう伝えた。
「‥本当に、ハリー今夜は積極的なんだね‥可愛い過ぎるよ‥」
やっぱり、監禁してしまいたいよ。
耳元で、熱っぽく囁かれて、僕は頷いた。
「いいよ‥僕を閉じ込めて‥セドリックだけのものにして‥」
セドリックの首筋に、両腕を絡めて、何度も振ってくるキスを更に強請りながら僕は言った。
僕が不安になる暇がないくらい、僕を愛して欲しかった。
「‥駄目だよ‥僕を誘惑しないで‥本気でハリーを‥‥」
その先のセドリックの言葉は、僕の耳に届かなかった。
僕の下半身を弄っていたセドリックの大きな掌が、僕を絶頂に追いやったから。
自分の嬌声で、肝心な台詞が聞こえなかった。
「‥ハリー、力を抜いて‥」
静かにそう言われて、僕はゆっくりと息を吐く。
僕の後ろの入り口にあてがわれたセドリックの指に、僕の身体はいやらしく反応し、既にヒクついて愛撫を強請っている。
「ハリー‥そんなに僕が欲しいの?」
僕のいやらしい身体の反応に、嬉しそうに笑って、セドリックが意地悪く言う。
僕は何度も首を縦に振った。
セドリックの静かに笑う声が聞こえて、それから僕の放ったもので十分に濡れたセドリックの指が一本、僕の中に入ってきた。
「‥あっ‥んっはぁ‥」
根元まで一気に侵入してきた指を、僕は無意識に締め付ける。
セドリックの指の関節の一つ一つを、感じるくらいに締め付けた。
「いやらしいね‥ハリー、こんなに締め付けて‥一本じゃ足りない?」
焦らすように、中で指を曲げたり伸ばしたりを繰り返しながら、セドリックは僕に問う。
‥わかっているくせに。
僕の身体に快感を教え込んだ貴方が、一番良く知っているはずなのに‥セドリックは意地悪だ。
「‥やっも‥う、‥入れて‥セドリックの‥欲しい」
僕の身体は、狂ったようにセドリックを求めていた。
慣らさなくても、痛くても、焦らされるより良い。
「そう?‥じゃあ、入れるよ‥」
指を引き抜いて、セドリックの熱が僕の入り口にあてがわれた。
たったそれだけで、僕の身体は次にくる快感を待ちきれなくて、腰が揺らいだ。
「‥ハリー、好きだよ」
入ってくる瞬間、僕の耳元でセドリックがそう囁いた。
「ああぁっ‥やっあっ‥んぅっ、はぁん‥ああ‥」
ゆっくりと、焦らすように僕の中に進入してくるセドリックの熱に、僕は酔いしれた。
背を逸らし、快楽を追って、自ら腰を揺らした。
「あっん‥セドリック‥好き‥あぅ‥あっ‥好きぃ‥」
僕は何度も何度も馬鹿みたいに、好きと繰り返した。
セドリックは、それに答える様に腰の律動を早めて、僕に快感をもたらす。
それが僕は嬉しくて、縋るようなキスを何度も返した。
「あぁっ‥もっ、駄目ぇっ‥あっああぁっ‥」
僕の欲望が弾けて、僕の身体を、セドリックの身体を白濁に汚した。
セドリックは、未だ僕の中で大きいまま、熱を保っている。
いつも、僕だけが先に限界を迎える。
僕は息を整える暇も無いまま、セドリックに攻め立てられる。
「あんっ‥はっ‥ああっ‥やぁん‥」
快楽だけを僕は追い求める。
辛いとか、苦しいとか、そんな事を考えている暇が無いくらい、快楽が身体を支配する瞬間。
「‥ハリー‥辛くない?」
セドリックの優しい言葉も、今はもどかしい。
「へ‥いっきだから‥もっと‥あぁっ‥してぇ‥」
「‥可愛い‥ハリー‥」
優しい言葉とは裏腹に、激しく攻め立ててくるセドリックに僕も腰を揺らす。
「んんっやぁ‥ああっ‥いいっ‥‥セドっ‥あんっ‥」
達しても尚攻め立てられる、際限の無い快楽に僕の欲望が再び頭をもたげ始める。
それに気付いたセドリックが、僕のに指を這わせて、狂いそうな快感を更に僕に与える。
「やぁ、だぁっ‥もうっ‥‥おかしくなるぅ‥はぁん‥」
「‥いいよ‥ハリー、もっと気持ちよくなって‥」
甘い囁きに、僕の身体がビクビクと跳ねた。
セドリックの限界が近付いているのを感じて、僕は更に追い立てられる。
熱に浮かされて、自分が何をしたいのかもうわからない。
セドリックに抱かれている‥という事実だけで、壊れそうなくらい乱れていた。
「あっ‥奥っ‥すごっ‥いぃ‥んっあっ‥やぁっああん‥ああっぅ」
「‥んっ、‥ハリーっ‥」
僕の最奥で、セドリックが熱い迸りを放った。
同時に、セドリックの指で攻め立てられた僕自身からも、再度白濁の欲望が吐き出される。
暗闇に、熱の込もった荒い二つの息使いが響いた。
情事の余韻に、心臓がドキドキして、上手に息を吐く事もままならない。
汗をかいた僕の額に、セドリックがキスを降らせた。
「‥良かったよ、ハリー‥」
と、恥ずかしい台詞を添えて。
「僕も‥」
恥ずかしかったけれど、僕も素直にそう返した。
セドリックは少し驚いた顔をして、それから笑った。
「今夜はなんで、そんなに可愛らしいの?」
僕を抱き締め、そんな台詞を吐いた。
僕は、セドリックの背に腕を回し、セドリックの肩に顔を乗せる。
「‥ハリー?」
僕のいつも以上に甘えた仕草に、セドリックの心配そうな声が掛かった。
「‥捨てないで‥」
どんなに身体を重ねても、言葉で伝えてもらっても、僕の不安は消えない。
貴方が好きだから。
僕の台詞に、セドリックが小さな溜息を吐いた。
「‥もう、本当に‥攫って行きたいよ‥ハリー‥」
攫って‥僕をセドリックだけのモノにして。
貴方と離れたくない。
ずっと、一緒にいたい。
貴方に溺れていたい。
「‥うん‥攫って‥」
僕たちは何度も何度もキスをした。
「あの‥ハリー?‥」
何度もキスをして、お互いの上がりすぎた身体の熱が通常のそれに戻った頃、セドリックが困った様に口を開いた。
理由は、未だ繋がったままの僕たちの下半身。
僕がセドリックにしがみ付いて、離れないから身体を離す事が出来ない。
「駄目‥抜かないで‥」
僕の我侭に、セドリックは困った様な顔をした。
「‥このままだと‥僕がヤバいんだけど‥‥」
僕の中、埋まったままのセドリックが再び熱を持ち始めている。
「嫌?」
「‥いや‥嬉しいんだけど‥‥ハリー、明日立てなくなったら困るでしょ?」
どこまでも優しいセドリックに、今度は僕が笑う番だった。
「いいよ‥壊れるくらい愛して‥」
僕の台詞に、セドリックが苦笑して、「本当に知らないからね?」と、僕を押し倒した。
何度抱き合っても、キスをしても、僕たちは違う人間だから。
いつまでも同じ気持ちではいられない。
でも、僕たちを繋いだ糸が切れてしまう瞬間まで、貴方とこうしていたい。
眠れない夜は貴方とこうして、抱き合って過ごしたい。
僕のこんな我侭を伝えたら、貴方は笑う?怒る?呆れる?
セドリックの愛撫にあられもなく喘ぎながら、霞む思考で僕はそんな事を考えていた。
眠れない夜は、まだ長い。
せめて夜が明けるまでは、僕だけの存在で居てくれる様に僕は何度もセドリックに祈った。
なんじゃあこりゃあ!?
って感じでしょうか?‥はい。すみません。
H有りにしようか無しにしようか悩んで、表と裏、別々にアップしてみました。
っていうか、深月がセドハリでエロを書きたかっただけなんですが‥。
あはは。‥‥すみません(反省)
2004・02・29みづきちよ