愛するがゆえ4。〜僕らで育てる華・3〜

 

 

いつだったか僕は・・・君に聞いたんだ。

「初めての相手は誰か?」って。

・・・・勿論、SEXの。

そしたら君は、「君が僕にそれを聞くのか?」って、笑ってたね。

その答えを聞いて、僕は嬉しかったけど・・・・・・笑えなかった。

純粋な君と違って、僕は君に出会う前に穢れてしまっていたから。

僕の過去を少しだけ知っている君は、俯く僕を優しく抱き締めて、「過去なんてどうでも良いだろう」って言ってくれたんだ。

僕は嬉しくて・・・君の優しい言葉が、抱き締めてくれる温かい腕が、本当に嬉しくて、泣いてしまった。

君はいつまでも僕を抱き締めたまま、笑って居てくれた。

いつだって君はまっすぐに、僕の傍で僕を癒す。

優しいキスをしてくれる。

甘い言葉を囁いて、愛してくれる。

僕の穢れた身体を、「綺麗だ」と言ってくれる。

これから先の未来を、君と共に歩んでいけたら・・なんて、叶いもしない幻想を、僕はちょっとだけ本気で信じてた。

子供が出来たと知った時、驚いた。

何度も身体を重ねていた僕たち。

たった一度、立場を・・・性別を変えたSEXをしただけで、こんなに簡単に、僕の夢が叶ってしまったから。

「責任を取る」と言ったのは、勿論本心からだけれど、・・・・本当は君と一緒に居たかっただけ。

このとき僕は、夢が叶った嬉しさで、浮かれてた。

忘れてたんだ、僕は・・・・穢れた身体だったって、そんな根本的なこと。

こんな僕が君を汚して、子供まで作ってしまった。

これはきっと許されない罪。

僕が傍にいたら、これからもどんどん君を汚してしまう。

そんな事、僕の自尊心と良心が耐えられなくて・・・・・家族に結婚を許された夜に、僕は君との別れを決めた。

子供が生まれたら、その子と一緒に、家を出て、誰も知らない場所へ行こう。

これ以上君を汚さないで居られるのなら、身勝手な奴だと、君に嫌われても構わない。・・・・悲しいけど、耐えられる。

君との子供を、僕は大切に育てるんだ。君に似て、きっと素敵な子に育つだろう。

僕はその子を汚さない。

二度と過ちは繰り返さない。

 

 

 

「・・・・マルフォイ」

ある日ドラコは、廊下でスネイプに呼び止められた。

「・・・何か御用ですか?」

睡眠不足で血色の悪い顔をして振り返ったドラコは、疲れた声でそう答える。

そのドラコの表情を見たスネイプの眉が、ぴくりと引き攣った。

1週間前、身に子供を宿したと知って、大騒ぎをし、けれど家族に認められ、若干16歳にして結婚と出産が決まったドラコ。

愛する者と結ばれて、幸せそうに笑っていた彼の面影は、今のドラコには見出せなかった。

明らかな睡眠不足と、食事の不摂生。

本人は元より、お腹の子供にとっても、最悪の状態。

「・・・・・・・・何をしている?」

スネイプの口から漏れた、少々難解な問いかけに、ドラコは答えられずに首をかしげた。

そんなドラコをイラついた様子で一瞥し、スネイプは無言でドラコの腕を掴むと、そのまま直ぐ傍にある自分の研究室へと連れて行った。

「何だその顔色は?・・・・自分の置かれた立場をわきまえろ!・・・子供を死なせたいのか!?」

部屋に入るなり、スネイプはドラコを怒鳴りつけた。

言われるまでもなく、ドラコだってそんな事わかっていた。

「・・・・・・・・・いいえ・・ちゃんと・・元気な子を・・・・・産みたいと思っています」

ドラコは俯いて、小さな声でそう答えた。

「だったら、ちゃんと食え!しっかり眠れ!!・・・・それくらいの事も出来ない奴が、人の親になどなれん」

わかっている。

そんな事、言われなくてもわかってる。

でも、食事が喉を通らない。

夜、どうしても眠れない。

ドラコは顔を上げて、無言のままで葛藤する視線をスネイプに向けた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・コレを飲みたまえ」

ドラコの視線に、スネイプは憮然とした顔のままそう言って、栄養剤の瓶をドラコに渡した。

妊婦にご法度である薬の投与。

しかし、差し出されたそれは、スネイプ特製の妊婦に無害な薬だろう。

ドラコは頷いてそれを受け取り、ポケットにしまった。

「喧嘩でもしたのか?」

ドラコが目の前で薬を飲まなかった事に、スネイプは更に機嫌を悪くしたが、今度は怒鳴らずにドラコに聞いた。

「・・・・・・・いいえ」

ドラコは疲れた声でそう返し、スネイプと視線を合わせない。

「マリッジブルーだか、マタニティーブルーだが知らんが、下らん・・・・ロングボトムにもそう言っておけ」

吐き捨てるようにそう言って、スネイプはドラコを寮に返した。

結局彼の目的は、ドラコのお腹の子供を思って、薬を渡す事だったらしい。

なんだかんだと直ぐ怒るスネイプだが、今回の事にはとても協力的だった。

 

スネイプの部屋から、自室への廊下をとぼとぼと歩きながら、ドラコは溜息を否めない。

あの日・・・・・両親たちに関係を暴露し、結婚と出産を許してもらった日。

幸せの中で愛し合った、その直後。

静かに泣いていたネビル。その涙を見たときから、何かがずっと引っかかってはいた。

目覚めた後の、何かを隠しているようなネビルの態度と、作り笑顔に、胸騒ぎを感じた。

嫌な予感はしていた。

そしてそれが、的中してしまった現状。

どうしたら良いかなんて、ドラコにはわからない。

わかっているのは、あの日の翌日、校長室を出た時から、ネビルと2人きりで会えないという、たったそれだけの残酷な現状。

話したい事がたくさんある。

聞きたい事もたくさんある。

2人でやりたい事もたくさんある。

それなのに、逢瀬が叶わない。

だけど決して、ネビルが自分を嫌っているわけではない事も、ドラコは知っていた。

2人きりで会えない他は、ネビルはドラコを無視したりはしなかった。

自分に不満がある時に、自分に対して怒りを宿している時のネビルは、ドラコを徹底的に無視をするし、何よりその事をドラコに宣言してから、行動を起こす。

魔法薬学では、今まで通り隣の席に座ってくれるし、目が会えば笑ってくれる。そして、ドラコの最近の体調不良を、酷く心配もしてくれる。

けれど、ドラコと2人きりで会おうとしない。

喧嘩をしたわけでも、何かを言われたわけでもなく、ただ2人きりで会ってくれない。

幾度と無く誘っているのに、何だかんだと理由を付けては、はぐらかしてドラコの腕を振り解いてしまうネビル。

昨日、とうとう我慢できなくなって、ドラコは「何故」かと理由を問い詰めた。「僕が悪いなら、言ってくれ」と、哀願にも似た声で。

するとネビルは、悲しそうに微笑んで、「夏休みになったら、ずっと一緒に居られるでしょう?」と、少し的を外した答えを返して、ドラコを宥める様に掠め取るようなキスをして、悲しい笑顔だけを残して、その場を去った。

その背中に、縋り付いて「行かないで」と泣いてしまえたら、どんなに良かっただろう。

我を忘れて取り乱し、力ずくでネビルを引き止められる事が出来たなら、今この場所を2人で歩けたかもしれない。

けれどドラコのなけなしのプライドが、マルフォイという家の名が、それを許さなかった。

 

ネビルは・・・・・何を考えているんだろう。

何を思って、こんな事をしているんだろう。

自分の愛を試しているのだろうか・・・・・だったら尚の事、2人きりで会いたい。

ネビルが望むなら、何度だって愛を囁く。自分を曝け出して、泣いて哀願だって出来る。「捨てないで」と喚く事だって出来る。・・・・・・・・プライドなんて、捨ててしまえば良かった。

ドラコは何度も何度も襲い来る後悔に、胃が軋む音を感じながら、自室への扉を開けた。

いつだってドラコは、もう一歩が踏み出せない。いざと言う時に、身体に染み付いたプライドが邪魔をする。

人目を気にして何も出来なくなるのは、ずるい証拠。

もしも立場が逆だったら・・・・本気で、相手を必要としているのなら、ネビルはきっと人目を気にせずに、泣き喚く事ができただろう。

彼は本当に心から純真で、穢れを知らない正直な人だから。

悔しいと思う。

悲しいと思う。

情けないと思う。

自分が憎くて仕方が無くなる。

子供が出来て、結婚が決まって、お互いの家族に認めてもらって、・・・・嬉しいはずなのに、今のドラコの心境はそれとは程遠い。

ネビルの相手が自分で、本当に良いんだろうかと、今更ながらに思ってしまう。

ドラコは放心状態のまま、ローブのポケットからスネイプに貰った薬を取り出し、一気に煽ってベッドへとダイブした。

何もかもがわからなくて。

ネビルの心も、自分の気持ちも、子供の事も。全部がどうでも良く思えてきて、ドラコは目を閉じる。

薬の効果なのか、ドラコは直ぐに寝息を立てた。

 

 

 

深夜、随分前に消灯を迎えた城の中を、小さな灯りがゆらゆらと揺れていた。

こんな時間にこっそりと歩みを進めるその灯りの持つ主は、きっと後ろめたい事でもあるのだろう。

深夜に似つかわしくない、眩しい灯りで眠りから覚まさせられた肖像画たちは、薄目を開けて目の前を通り過ぎる不届き者を無言で見咎めた。

『昼間はあんなに大人しくて、臆病な子なのに・・・人は見かけによらないものだねえ。』

『あぁやっぱり、スリザリンの寮の方へ歩いていくよ。』

『どうせまた、悪巧みでもするんだろうさ。』

『全く、最近のホグワーツの生徒は、素行が悪くていけないねえ。』

肖像画たちは、小さな声でそんな事を囁きあって、闇の中へと歩みを進める小さな灯りの持ち主の背中を、じっと見ていた。

 

静まり返った廊下に、自分の靴音だけが大きく響く。

こんなに大きな音を立てて、フィルチに見付かりやしないかと、少し不安だったが、ネビルはそれでも目的地へと向かって歩き続けた。

夜の闇の中を、怖いと思う余裕は、今のネビルには無かった。

数日前から、ドラコを意図的に避けていたネビル。その事で、ドラコを苦しめている自覚もあった。

日に日にやつれて元気が無くなっていく彼を、何度も抱き締めたいと思った。

「ごめん」と素直に謝って、胸の内を暴露したくなった。

けれど・・・・・どうしても出来なくて、時間だけが過ぎていく。

昨日の夕食にドラコは現れなかった。

流石に心配になって、ネビルはドラコの元へと行くべきかと、随分悩んだ。

今、ドラコの前に出てしまったら、胸に刻んだ決意が揺らぐ。・・・でも、ドラコをこのままで放ってはおけない。

そして今、ネビルは深夜のこの時間に、ドラコの元へと向かっている。

せめて眠っているドラコに、謝罪と抱擁をあげたくて。自己満足でも、ドラコの傍に居てあげたくて。

その思いだけを胸に、ネビルはドラコの元へと向かった。

何度も歩いた地下の廊下の、見慣れた騎士の像。

その右手をゆっくりと動かして、ネビルはその奥の扉を開けて、通路へ進んだ。

パチパチと薪の爆ぜる音がする通路の中は、等間隔に置かれた松明の灯りで、随分明るい。

ネビルは杖に灯していた明かりを消して、先へと進む。ネビルの後ろで、騎士の像ごと扉が元通りになって、廊下は再び闇に閉ざされた。

 

 

「・・・・・・・・・起きてたんだ・・」

扉を開けた、ネビルの第一声。

今しがた通って来た短い通路ほどではないが、部屋の中には薄明かりがついていて、ベッドの上に居るドラコは上体を起こして本を読んでいた。

ドラコが不眠症な事を知っていたネビル。

起きている事も、予想はしていたが・・・・出来れば寝ていて欲しかった。

ゆっくりと扉を後ろ手で閉めたネビルは、困ったように笑う。

完全な作り笑い。

「駄目じゃない・・・・ちゃんと眠らないと・・・赤ちゃんにも、ドラコにも、良くないよ」

静かに呟いて、ネビルはドラコの居るベッドへと歩いていった。

ドラコはネビルが傍に来てくれるのを、ベッドの上で静かに待った。

「・・・・もう来てくれないのかと思ったよ」

ネビルがベッドのすぐ近くまで来たときに、ドラコはネビルを見上げてポツリとそう言った。

「うん・・・・・・・ごめんね?」

ネビルは感情を押し殺した小さな声で、ドラコに謝った。

心底悪いと思っているのだろう。ネビルの表情は、酷く暗い。

そんな顔を見ていられなくなったドラコは、腕を伸ばしてネビルの身体を抱き寄せた。

ふわりとネビルの鼻腔を、ドラコの香水の香りがくすぐる。

久しく遠ざかっていた、ネビルの大好きなドラコの香り。そして、身体に感じるのは、やはり大好きで安心する、優しいドラコの温もり。

「・・・・・・・もう・・・良い、ここに・・・僕の腕の中に、ネビルが居てくれるだけで、僕は満足だから・・」

優しい言葉で本心を語るドラコ。

自分が避けていた間中、きっとドラコは望んでいてくれた。長く温かいこの腕の中に、自分が居る事を、ずっと・・・望んでいてくれていた。

こんな風に、ドラコを追い詰めてしまったのは、自分。

間違った判断なのはわかっているけれど・・・この腕の中で嘘を吐き続け、甘えているわけにもいかない。

 

いつもなら、どんなに抵抗していても、どんなに嫌がっていても、ドラコの腕の中では素直に甘えてくれていたネビルは、今日に限って身体を強張らせていた。

その事に気付いたドラコ。

溜息と、後悔と、不安。・・・そんな苦しい感情に、胸が締め付けられた。

けれど、折角腕の中に捕獲したネビルを離すつもりなんて無い。

「・・・・・・・・嫌か?」

単刀直入にドラコは聞いた。

偽善も、嘘も、プライドも、後悔も、もうたくさん。

夫婦なのだから、本音でぶつかってしかるべきだと思った。

「・・・・うぅん・・・・・嫌じゃないよ・・・・・大丈夫・・・僕は、ちゃんとここに居るから・・・・(今だけは・・)」

ネビルは弱々しく首を振って、そう答えたが、とてもそうには見えない。

ドラコは頑なな態度を崩さないネビルに、大きな溜息を吐いた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ネビル・・・僕は・・・・・君に相応しくないだろうか?・・・・飽きたなら、そう言って欲しい・・・嫌いになったのなら・・・」

「違う!!ドラコ・・・・・そうじゃない・・・そうじゃないんだ・・」

思いもよらないドラコの台詞に、そこまでドラコを追い詰めてしまったと、ネビルの胸を後悔が襲う。

気付いたら、大きな声でドラコの言葉を遮っていたネビル。けれど、その後に続ける言葉が見付からなくて、俯いてしまう。

嘘を吐き続ける事を望んだのは、ネビル自身。けれど、その事がドラコを苦しめていると、知らなかったわけじゃない。そして、それを望むわけじゃない。

抱き合ったまま、重苦しい沈黙が2人を襲った。

触れている身体は温かいのに・・・・何だか空々しい。

心が寒い。

お互いの気持ちが完全に擦れ違っている。

今までにも、こんな事はあったけれど・・・・もうすぐ恋人じゃなくなる2人にとっては、絶望的な状況が、目の前にある。

「・・・・ごめん・・・・ドラコ・・・・・・・僕は・・・」

先に口を開いたのは、ネビルだった。

悲しい顔で、縋るようにドラコを見上げた。

助けてあげたい。癒してあげたい。・・・・・そう思うのに、ネビルの心を知らないドラコには、何もしてあげられない。

「・・・行くな・・・・・・僕を残して行かないでくれ・・・」

無意識なのか、意図的なのか、自分の腕の中から逃げ様としたネビルの身体を、強く抱き締めて、ドラコの方こそ縋る声で囁いた。

その瞬間、罪の意識に囚われて、ネビルは身動きが出来なくなる。・・・呼吸さえ、止まった。

あぁ僕は・・・・なんてことをしているんだろう。

愛する人を傷つけて・・・・傷付け続けて、更にその傷を抉ろうとしている。

こんな事が必然なんて・・・・・残酷だ。

ドラコを見上げたまま、ネビルは辛そうな顔で何かを言いたげに、口を薄く開いたが、その口から言葉が零れる事は無く、ただ悲しそうな瞳でドラコを見ていた。

 

居心地の悪い沈黙の中、時間だけが過ぎていく。

ずっとドラコを見上げていたネビルの瞳には、だんだんと涙が溜まり始め、溜息のような小さな嗚咽と共に、ドラコの胸に顔を埋めた。

ドラコはそれを優しく受け止めて、慰めるように愛しい栗毛に掌を添える。

何も言わないドラコの仕草は、無言でネビルを慰め、癒した。

抱かれ慣れた、愛しい人の腕の中。何度も頭を撫でてもらった、優しい掌。ネビルが世界で一番好きな人の、温もり。

辛い道を身勝手に選択したネビルを、ドラコは責めずに居てくれる。そればかりか、自分を責めて、ネビルを慰める、優しいドラコ。

生殺しの様なその状態に耐え切れなくなったネビルの瞳からは、涙が次々に生まれた。

「・・・・・ごめんなさい・・・ごめん・・・・ごめんね・・・・ドラコ・・・・僕・・・」

ようやくネビルの口が紡ぎだした言葉を、ドラコは静かに聞いていた。

「・・・・相応しくないよ・・・ドラコに・・・・僕・・・やっぱり、ドラコを傷付ける事しか出来ない・・・・傍に居たいけど・・・駄目だよ・・・・・・僕じゃ・・・・駄目なんだ・・」

「僕が望んでも?」

ネビルの言葉に問いかけたドラコの声は優しかった。

その声に、ネビルは躊躇いも無く頷いた。

ドラコは溜息を否めない。

「今度は何だ?・・・どんな自責の唄を歌うんだ?」

ネビルが頑なに何かを決意している時、それが自分たちの関係を一方的に否定している時、必ずネビルは1人で絶望的な答えを出している。

4年も一緒に居れば、そんな事直ぐに気が付く。

自分はそんなに頼りないかと、ドラコはいつも少し寂しい。

「僕は・・・・構わない。・・・・・・ネビルの過去が、・・・心の中が、・・傷の深さが・・・・どんなものだったとしても、全力で癒して、忘れさせてやる・・・・君が僕を捨てるというのなら、僕は世界中どこまででもネビルを追いかけて、「捨てないで」と縋ってやる・・・・だから・・何でも話してくれ・・・・」

優しい言葉。

ネビルの強い決心を、一瞬で揺るがす力を持った、ドラコの言葉。

抱き締められた腕の中で、ネビルは泣き続けた。

 

 

 

「・・・・前に・・・言ったでしょう?・・・僕・・・・何度も死のうとしていたって・・・」

思う存分泣いた後、ネビルはドラコに抱き締められたまま、ドラコのベッドの中に居た。

「あぁ・・・聞いた」

ドラコは少し眉を顰めて、簡潔に相槌を打った。

「一番最初は・・・・・・・9歳の時・・・ドラコと出会う、ずっと前・・・」

ネビルは淡々とした口調で話をしていたが、ドラコの手を強く握り締めていた。

きっと辛い過去なのだろう。

できる事なら、話をしないで済むのなら、それに越した事は無い。ドラコはそう思う。

けれど、これから夫婦になる2人には、やはり必要なステップだった。

「僕は家族からスクイブだと思われていて・・・・・マグルの中で生活できるようにって、マグルの勉強をしていたんだ・・・家庭教師まで付けられた・・」

自嘲的な口調は、ドラコの耳に痛い。この先の展開で、ネビルが思い出す過去を思うと、胸が張り裂けそうだった。

「家庭教師は優しい笑顔の男の人で、出来の悪い僕にいつも優しく接しくれていた・・・・僕も直ぐに彼に懐いて、僕たちの関係は上手くいっていたんだ・・だけど、・・・・・・・・だんだんその関係は崩れていった・・・・・・ある日、いつものように課題を出された僕は、何の疑いも無く机に向かった・・・・

 

 

『ネビル・・・どうした?』

ペンを止めて、眉を寄せたまま暫く考え込んでいたネビルに、男は助け舟を出すように、優しく声をかけた。

ネビルが座る椅子の後ろから、ネビルに覆いかぶさるようにして、その手元を覗き込む。

男に何の警戒心も持っていない幼いネビルは、縋るような目で男を見上げた。

男はそんなネビルに優しく微笑んだ。

『・・・・あぁ、ここはね・・・この公式を使って・・・』

『・・・・・・あっ・・・・んん・・』

男の声に、ネビルの甲高い小さな叫びが重なった。

ネビルの身体を後ろから抱くようにした男の長い指が、ネビルの薄いシャツの上からネビルの胸の突起を悪戯していたのだ。

『・・どうした?・・・・・おや、いやらしい・・・・僕の手が少し触れただけで、こんなにして・・』

楽しそうにくすくすと笑い、男はぷくりと立ち上がったネビルの突起を、指先で摘み、慣れた仕草で愛撫した。

『や・・・・先生・・・痛いよ・・・・・・やめてっ!!』

幼いネビルの抵抗は、大人の男にあっさりと抑えられた。

『やめてと言う割には・・・・・随分と積極的に立ち上がっているね?』

いやらしい声でそう言って、男の手は更に執拗にネビルの身体を弄ぶ。

『・・・・・あん・・・・やっ・・・やめてぇ・・』

泣き虫のネビルは直ぐに泣き出した。

けれど男の手は休まることなく、とうとうシャツのボタンを外して、直接ネビルの肌へと触れた。

『・・・いやっ・・・・せんせっ・・・なんでこんな事するの?』

性行為など知らないネビルには、男が自分の胸を弄くる理由などわからない。

『・・・・・・・・・なんで・・・・ねぇ・・・仕方ないだろう?ネビルがいやらしい子で、勉強をしないから・・・おしおきだよ・・』

楽しそうに笑って、男はネビルの細い身体を造作も無く抱き上げて、ベッドの上に転がした。

『あっ・・・・あぁ・・・せんせ・・・・もっ・・・許して・・・』

自分のベッドの上で裸に剥かれて、巧みな指と舌に身体中を撫で回されたネビルは、大声で泣き喚く。

しかし、男は行為を止めない。

声を聞きつけてくれる家族も、今日は外出していて誰も居ない。

男の演技と笑顔の仮面は、ネビルだけでなく、祖母までも完璧に騙してしまっていた。

『そんなにいやらしい声を出して・・・・そんな風だから、ネビルは勉強に身が入らないんだ・・・いやらしい子は、いけない子だよ』

大人になった今なら、男のこの理不尽な台詞に怒りや反論をぶつけられただろう。しかし、当時の幼いネビルには、男の・・・大人の言う事は絶対の意味を持っていた。

『・・・ごめ・・なさ・・・ごめんなさいぃ・・・・・・先生ぇ・・・ネビル、・・・良い子にするから・・・・お願い・・・・もぅ・・・許してよぉ・・・』

涙でぐちゃぐちゃになった顔で、ネビルは男に何度も哀願した。

けれど男はますます楽しそうに笑うだけで、ネビルの言葉に耳を傾けたりはしなかった。

性行為も、射精も、何もかも知らない、純粋で無垢なネビルを男は何時間も辱め、自分勝手な行為を強要し続け、ネビルは痛みを与えられるのは、恥ずかしい事をされるのは、自分が悪い子だからだと、泣きながら考えた。

 

翌日から、男の態度は更に酷くなった。

勉強が出来ない、と何度もネビルを強姦し、『悪い子』だと囁き続けた。

酷い時には、ネビルに自身を挿入したまま机に向かわせ、『いやらしい事を考えずに勉強に集中しろ』などと言って、笑った。

ネビルが自分を虐げる、自虐的な思考を持つようになった背景には、この時の出来事が大きく影響している事は、言わずもがなである。

それから家庭教師の契約が終わるまで、一週間以上もネビルを弄び続け、男は去った。

折りしもその日は、ネビルの9回目の誕生日だった。

結局、ネビルに残されたのは、勉強の成果ではなく、男の玩具としての記憶だけ。

祖母に言うことも出来ず、誰にも相談なんて出来ないままに、気付いたら手にしていた剃刀。

この時のネビルには、性行為も、大人と言う生き物も、死が何かなんて事すらも、何もわかっては居なかった。

ただ、自分は『悪い子』なのだと・・・・そう思うだけだった。

 

こんな恥ずかしくも、悲しい過去と傷。ドラコには、知られたくなかった。

けれど、この傷を隠したままで、ドラコに嘘を付き続けるくらいなら・・・消えてなくなりたいと、ネビルはそう思ったのだった。

 

 

話し終わったネビルは、俯いたまま顔を上げられず、ドラコの手を強く握り締める。

「・・・・・・・・・・・・・・その男は、・・・その後・・・どうなった?・・・今、どこで何をしている?」

ネビルの肩を抱いたドラコの身体は、怒りで震えていた。

何も知らない幼いネビルに、汚い欲情を擦り付けた男。・・・・身の内に感じる怒りは、過去にネビルを強姦した男たちとは比べ物にならない。

今すぐにでもその男を殺しに行きかねない勢いのドラコに、ネビルはようやく顔を上げて、泣きはらした瞳で首を振った。

「・・・・消息なんて・・・・知らないよな・・」

ネビルの様子を見て、今更ながらに自分の間抜けな問いかけに気付き、ドラコは歯軋りをした。

自分をそんな形で汚した男の消息を、ネビルが知らないのは当然だ。二度と会いたくないだろう。

自分の馬鹿な失言に、ドラコの顔が歪む。

「・・・・・うぅん・・・・違う・・・・・ドラコ・・・もぅ、遅いんだ・・・・・あの人・・狂ってしまったから・・・・自分が何をしたかなんて、もう忘れてる・・・」

そんなドラコの思考を読んだように、ネビルは言った。

「・・・・・・・・・・ネビル?」

まるで、自分で見てきたかのように言ったネビルの顔を、ドラコは凝視した。

会いたくないだろう、最低な男の消息を、ネビルが知っている事に、純粋に驚いた。

「・・・・・・・会ったんだ・・・・・僕、会いたくなかったし、忘れてしまいたかったけれど・・・・・・・運命はそれすらも許してはくれなかった・・・・」

言葉の途切れた瞬間に、一度ゆっくりと瞬きをして、それからネビルは言葉を続けた。

「・・・・だから・・・・ドラコ・・・不幸になるよ?・・・・・・・僕なんかと、一緒に居たら・・・きっと・・不幸になるよ・・・僕、穢れているから・・・・・もう、わかったでしょう?・・僕がどんな人間なのか・・」

「ネビル・・・・・・・そんな事を言うな・・そんな風に、自分を責めて生きるな・・僕が居るだろう?・・・堕ちる時は、一緒だ・・・・」

ネビルの身体をぎゅっと強く抱き締めて、ドラコは言った。

苦しそうな表情で、辛そうな声だった。

ネビルの痛みは、ドラコの痛み。

ネビルの過去が運命だというのなら、その過去を一緒に背負い、癒すのがドラコの運命だ。

「・・・・・狂ってしまったと言うそいつを・・・僕は殺してしまいたい・・・・」

ドラコが物騒な台詞を紡ぐのを、ネビルは微笑んで見ていた。

「・・・駄目だよ・・・そんな事をしても、何もならない」

言われなくてもそんな事、ドラコにだってわかっている。

けれど、怒りの矛先を向ける相手が居るのなら、そいつが受けて当然の報いだと思う。

「・・・・・・・・・・・じゃあ、名前だけでも、教えてくれ・・・・いつかそいつに会うことがあったなら、背中に蹴りのひとつでも入れなければ・・僕の怒りが収まらない」

随分子供っぽい報復。

今のドラコが、理性で抑えられる精一杯の感情。

「・・・・・・・・・・・・・・ギルデロイ・ロックハート・・・僕の家庭教師をしていた時は、カイン・ルフォープ・・と名乗ってた」

ネビルはドラコの問いに、誠意を持って答えてくれる。

ドラコは驚きを上手く隠せず、言葉を失う。

でも確かに、言われて見れば・・・・・2年生のとき、あの男に乱暴されたネビルは、妙に自棄だった。上級生に強姦された時は、身体全体で拒絶していたのに・・・。

そういう事だったのかと、ドラコは今更ながらに合点した。

過去に一度・・・・それも一生忘れられない傷を受けたネビルが、ロックハートを受け入れざるを得なかった理由が、そんな事だったとは・・・完全に盲点だ。

『貴方には、ロングボトムは勿体無い』

あの時の傲慢で、上から言われた言葉の意味を、当時は取り違えていた。

単純に、自分の手で汚し、奪ったから、ネビルを諦めろと・・・・そんな意味で言われた言葉だと、思っていた。

あの言葉には、もっと深い意味が隠れていたのだと、今更気付いたところでもう遅い。

あの時に、気付いてあげるべきだった。

ロックハートの言葉は、「ネビルを私に返しなさい」だったと、気付いてあげる事が出来たなら、今こんなにもネビルが悩むことなんて無かったのに。

「・・・・・僕は・・・知らなかったなんて、言い訳はしない・・・・・すまない・・君を愛していると、そんな自負に少し浮かれていたんだな・・・・・ずっと、君が胸の内で葛藤していた事に、もっと早く気付いてあげられたら・・・こんな事には、ならなかったな・・・」

自分を責めながら、ドラコは苦い顔をした。

「・・・・ドラコは・・・・悪くないよ?・・あの時ちゃんと、僕を助けてくれた・・・・・・ドラコが来てくれなかったら・・・きっと、僕は今でもあいつの玩具だった・・」

ネビルはドラコを見上げて、悲しそうに自嘲の言葉を吐いた。

「・・・・・・・そんな事、僕が許さない・・・ネビルは、僕のものだ・・・・・誰にもあげたりしない・・」

ドラコの言葉は、ネビルにではなく自分自身に向けて言い聞かせるような言葉。

そのドラコの素直な独占欲に彩られた台詞に、ネビルは静かに目を閉じた。

自分を包んでくれる、この温もりは、いつだってネビルを優しく包んで、安心させてくれる。

「・・・・・・・ありがとう・・・・・ドラコ・・・僕なんかで・・・・本当に・・・・・良い?・・・・僕がドラコの傍にずっと居ても、・・・本当に・・良い?」

ネビルは零れ始めた涙を、一生懸命に手の甲で拭いながら、何度もドラコに聞いた。

ドラコはその度に、優しい声で「良いよ」と答えた。

 

 

「・・・・・・・愛してる・・・世界中で、君が一番愛しいよ・・・ネビル・・」

白い湯気が立ち込めるバスルームに、ドラコの声が反響して響く。

泣き喚いたネビルに、「風呂に入ってすっきりするか?」とドラコが薦め、ネビルはそれに頷いた。けれど聡いドラコは、ネビルを1人にはしなかった。

シャワーカーテンを半分開けて、入浴しているネビルの姿を、バスタブの外から見詰め、愛を囁き続けた。

以前ネビルはこの場所で4度目の自殺を試みているから、今回が5度目にならないように、ドラコはちゃんと目を光らせたのだ。

「・・・・・・・・・・・・・恥ずかしいよ・・・ドラコ・・・・」

ネビルは湯当たりでも起こしているみたいに真っ赤な顔で、湯の中に半分顔を沈めた。

「・・・僕の目の前で、入水自殺か?・・・そんなナンセンスな事、止めてくれ・・」

ドラコは苦笑して、ネビルの濡れた前髪を撫でて、湯の中から顔を上げるようにとネビルを諌める。

「そんなつもりじゃない・・・・けど・・・恥ずかしいんだもの・・・」

湯の中から、しぶしぶ顔を上げて、ネビルは困ったようにドラコを見上げる。

「・・・・恥ずかしがらないで、ちゃんと受け止めてくれないと困るんだ・・・・僕が、どれくらい本気でネビルを愛しているか・・・教えておかなければ、またネビルは僕に黙っておかしな事を考えてしまうだろう?」

飄々と答えたドラコは、ふわりと優しい笑みを零して、ネビルを見据えた。

ドラコの言葉が痛いくらいに胸に響いて、ネビルは眉根を寄せた。

こんなに本気で自分を愛してくれる人、きっともう一生出会えない。

優しくて、賢くて、強い、・・・大好きな人。

そんなドラコを裏切って、姿をくらまそうだなんて・・・・そんな考え、甘かった。

大好きな砂糖菓子なんかよりも、全然甘かった。

数時間前まであんなに苦しかったのに、今はこんなに穏やかでいられる。

ドラコは世界でたった1人、自分を癒してくれる人だと、ネビルはようやく気が付いた。

「・・・・・・・・・うん・・・・そうだね・・・・・・ドラコ、もっと教えて・・・・僕馬鹿だから、直ぐに忘れてしまうかもしれない・・」

ようやく心から笑ったネビルは、そんな事を言って、ドラコへと腕を伸ばした。

着ている服が濡れるのも構わず、ドラコはその愛しい身体を抱きとめる。

 

「いやだ・・・・・なんか・・・・・・こういうの、お姫様だっこって言うんでしょう?・・・・・恥ずかしい・・・」

抱きついてきたネビルを、そのまま抱き上げ、風呂から上がらせると、ドラコは脱衣所へと戻り、ネビルを抱えたままその細い身体を器用にバスタオルで包み、更に部屋の中へと歩みを進めた。

この先の展開を、大体の予想が出来たネビル。

この時間、風呂上りに服を着ずに、部屋へと戻って、する事はひとつしかない。

その事は嫌じゃないけれど、歩けないわけでもないないのに、抱かれて運ばれるのは、子供みたいで恥ずかしかった。

「・・・・良いじゃないか、ネビルは僕のお姫様だ」

ドラコは笑って、眉を顰めたネビルに、優しいキスを送る。

「・・・・・・・・馬鹿・・」

本気の抵抗を茶化されて、ネビルは頬を膨らませる。

「傷付いた・・・・・・そんな言い方・・・僕の心は、凍傷にでもなってしまいそうだ・・」

ネビルの身体を優しく目的地のベッドへと下ろして、ドラコは笑顔でそう答える。

言葉とは裏腹に、ちっとも傷付いているようには見えない。

「・・・・・・凍傷になったら、僕が舐めてあげる・・・・・・それに僕、・・・馬鹿でもドラコが大好きだ・・・」

ネビルは苦笑して、自分の身体に覆いかぶさってきたドラコを見上げて、そう言った。

ドラコはくすくすと笑って、愛しいネビルの赤い唇に、優しくキスをした。

 

「・・・・自分を穢れているなんて・・・・思うな・・・・ネビルはこんなに綺麗なんだ・・・」

ネビルの白い身体を愛撫しながら、ドラコが囁く。

「・・・・ホント?・・・・僕・・・綺麗?」

既に息が上がり、上気した頬で、瞳に涙を滲ませたネビルが、喘ぎの合間に問い返す。

「・・・・あぁ・・・僕の方こそ、穢れているんじゃないかと・・・思うくらいに・・」

舌先でネビルの胸の突起を愛撫しながら、その合間にドラコは器用に言葉を紡ぐ。

その慣れた巧みな仕草に、ネビルは場違いに感心した。しかし直後に、その術を身に付けさせたのは自分なのだと自覚して、頬を更に赤く染めた。

「ドラコは・・・・穢れてなんかいないよ・・・」

それから、自分の胸の上に乗っている愛しいプラチナブロンドを抱き寄せて、微笑む。

「・・・・・・・・でも僕は・・・・・過去にネビルを穢した男たちと、同じ感情を持っているんだ・・・・・ネビルをこうして同じ仕草で抱いている・・・」

ネビルの笑顔から視線を外して、ドラコは更に続けた。

「・・・うぅん・・・違うよ・・・・・ドラコは、僕を愛してくれてる・・・・・僕だってドラコを愛している・・・・汚い欲情なんて存在しない・・・僕たちはただ、純粋に愛し合っているだけなんだ・・・そうでしょう?」

意固地に意志を曲げないドラコに苦笑して、ネビルは優しく問いかける。

「・・・・・・ネビルは・・・僕を愛している?」

ネビルの胸から顔を上げ、ドラコがネビルを見据えた。

「・・うん・・・・大好きだよ・・・・・・・・derlin’?」

まるで少女が憧れる小説の一説みたいに、少し恥ずかしそうに・・・・嬉しそうにそう言って、ネビルはふわりと笑った。

ドラコはと言えば、耳慣れない言葉に不覚にも赤面してしまった。

どこかの鬼の娘じゃあるまいし・・・・・「ダーリン」なんて、反則だと思いつつ、嬉しくて仕方が無い。

思いはそのまま、優しくも激しい愛撫になって、ネビルに伝えられた。

「・・・あっ・・・ちょ・・・・・待って・・・・はっぁ・・・ドラコ・・・身体・・・・・こんなこと・・・しても・・・平気・・・なの?」

襲い来る快感に、眉根を少し寄せながら、思い出したようにネビルはドラコの身体を労わる。

ドラコは律儀なネビルに苦笑して、興奮で上がった息を吐き出した。

「大丈夫だ・・・・ちゃんとマダムの了解を得ている・・」

ドラコの言葉に、ネビルは複雑な顔をした。

プライドの高いこの愛しい人は、一体どんな顔をして、そんな事をマダムポンフリーに尋ねたのだろう・・・・・考えたら、少し頭痛がした。

「・・・・・用意周到?・・・だね・・」

呆れ混じりにそう咎めたら、

「ネビルが僕を放っておくからだ」

と返されて、ネビルは言い返せない。

ここは素直に愛撫に酔っていた方が得策だ・・・と考えて、素直にドラコに身体を預けた。

 

 

 

僕の穢れた身体を、君は「綺麗」だと言ってくれる。

僕の身体の隅々にまで唇を寄せて、所有印を刻んでくれる。

僕の悲しい過去まで、君は受け止めて、僕を癒してくれる。

君に出会えた人生だから、・・・・僕は悲しい過去まで受け止めて、人生を歩こうと決めた。

 

To be continued‥‥。

 

恒例の、チヨリンさん。

リン「ネビルが穢れていて、ドラコも穢れていたら、・・・生まれてくる子供も穢れていますね・・・・穢れ一家??(笑)」

チヨ「(爆笑)・・・・マジですか。じゃあアレですね、次回からは背景真っ黒にして、タイトルは「穢れた一族」にでもしなきゃです」

リン「そう・・・おどろおどろしいBGM付けて、タイトルクリックすると『ギギィ〜・・・キャーッ!!!』・・・って、効果音出して・・」

チヨ「・・・・どこの都市伝説だよ!!」

・・・・・・・・冗談ですよ?←わかってるって・・。

2004・12・10 蒼向上委員会。

 

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