想いのその後と美味しい時間。

 

「ネビル、あ〜んしろ」

「え〜?いいよぉ」

「やらせろよ、僕も一度やってみたかったんだ」

「・・・・・・仕方ないなぁ」

 

バレンタインの深夜。

ドラコの私室でいちゃつく恋人たち。

待ち合わせた夕刻から、夕食へも行かずにずっと2人で過ごしている。

食べる物はドラコの部屋にたくさん用意されていたし、ここにはバスルームも、トイレも、ベッドも、・・・ネビルの着替えまで、何でも揃っていた。

そしてネビルは、まだあの格好のまま・・・。

 

「ねぇ、ドラコ・・・・・・僕も、そっちの食べたい」

ドラコにお菓子を食べさせてもらって、恥ずかしがりながらも嬉しそうなネビル。

甘えついでにテーブルの隅に置いてある、可愛らしいチョコレートの缶を指差していた。

ずっと置いてあったそのチョコは、ドラコのお気に入りの物で、何故だかずっとネビルからは遠ざけられていた。

目を奪われたネビルが手を伸ばそうとすると、ドラコは言葉巧みにそれを遮った。他に食べる物はたくさんあったし、そのどれもが普段は縁遠い高級品ばかりだったので、ネビルはその度に上手にはぐらかされてくれていた。

「・・・・・」

ネビルがはっきり指差したのを見て、ドラコは困った顔をして黙ってしまう。

「・・・・・・駄目?」

どうして自分が食べてはいけないのか・・・と、ネビルは可愛らしい顔を不思議そうに傾げて、大きな瞳でドラコを見上げる。

「駄目・・・ではないが・・・・・・・・いや、やっぱり駄目だ」

一瞬、そんなネビルに流されそうになったドラコ。しかし直ぐに言葉を改めた。

「・・・・・なんで?」

ドラコの言い分は身勝手に聞こえるが、意地悪をしているわけではないらしい。その様子に、ネビルは更に解せない表情をする。

「大人の味だから」

するとドラコは、苦笑しながらそう答える。

「・・・・もしかして・・・・お酒入ってる?」

抽象的な言葉でそう言ったドラコの意図に、ネビルは半分確信を持って聞き返す。

ドラコは困った顔のままで頷いた。

「・・・そっか・・・・・・・・でも・・・一個だけ・・・・・・・駄目?」

ドラコの言い分を理解して、確かに自分には食べられないかも・・・と思ったネビル。でも、好奇心は萎えてくれない。

甘えた仕草で、ドラコにお願いしてみる。

聡明なドラコは、食べた後のネビルの反応を先読みできているので、あまり賛成はしたくない。

「ねぇ・・・・お願い、苦くても泣かないから・・・・・・不味くても、ジュース飲んで我慢するから・・・・ねぇ・・」

言い渋るドラコの鼻先に、自分の鼻先が触れそうなくらい近付いて、大きな瞳で強請るネビル。しかもアン○ラの制服で。

『その可愛さといったら、イギリス1・・・いや、ヨーロッパ1・・世界1と言っても過言では無い、むしろ犯罪!!鼻血フィーバー!!ワォ!!!』←ドラコ脳内生息の煩悩仙人談。

大きな鳶色の一対の瞳が、ドラコをじっと見上げている。

それに逆らえるドラコじゃない。

「・・・・・わかった・・・・・・・後悔しても知らないぞ?」

渋々承諾して、警告も忘れずに発しながら、ドラコはチョコレートの缶に手を伸ばす。

やっと自分の要求を受け入れてくれたドラコに、ネビルは満面の笑みを零した。

 

ドラコの長い指に五角形の上品なチョコレートがつまみ上げられ、自分の目前に迫ってくるのを笑顔でじっと見て、待ちきれないのか、もう既に薄く唇を開いているネビル。

期待一杯のその瞳と仕草が、親に餌を強請る雛鳥の姿とよく似ている。

数秒後にこの顔が泣き顔に変わってしまうと知っているドラコ。

微笑ましい微笑の中に、不安を色濃く覗かせていた。

「あ〜ん」

自分でそう言って、ドラコの指が差し出したチョコレートを口に含んだネビル。

凄く幸せそうだ。

しかし・・・・・ドラコが危惧したとおり、数秒後その笑顔は一転した。

「・・・・・・・・うぐ・・」

チョコレートを口に含んだままで、くぐもった呻き声を発したネビル。

やっぱり・・・とドラコは思った。

自分で「泣かない」と宣言したネビル。一生懸命に涙を堪えているのだろうが・・・・生理的に溢れる涙までは制御できない。

大きな瞳が涙に揺らぐ。

相当辛いのか、ネビルは硬直したように肩を小刻みに震わせて、口の中の液体と化したチョコレートと酒を飲み込む事すらままならない。

「・・・・ったく、だから云っただろう?」

呆れたようにそう言って、ドラコはネビルに口付けた。

無理やり開かせた口の中から、チョコレートを自分の口の中へと移動して、飲み込む。

それでも苦さの残るネビルの口内を、ゆっくりと舌で拭うように舐めまわした。

キスと言うよりは、応急処置に近いその行為。

ドラコの舌に丹念に口の中を愛撫してもらう内に、苦味の消えたネビルの舌は、いつしかうっとりとドラコの舌に絡んでいった。

 

「・・・・・・・はぁ・・・・不味かったぁ・・・」

長いキスの後、唇が離れて漏れたネビルの口から零れた、色気の無い一言。

ドラコは苦笑するしかない。

「ちゃんと言っておいたのに、僕の忠告を無視するからだ」

呆れたようにそう言いながら、しかし仕草は優しくネビルの身体を慰めるように抱き締めた。

「ごめんなさい」

素直に謝って、首筋に甘えた仕草で腕を絡ませる恋人に、ドラコは愛しそうに微笑んだ。

そしてドラコの首筋に顔を埋めたまま、ネビルは静かに目を閉じた。

「どうした?・・・・早速酒に酔ったのか?」

静かになったネビルに、ドラコがからかうように言った。

冗談だったその台詞。

「わかんない・・・・・でも、熱い」

目を閉じたままでそう言ったネビル。

ドラコは溜息を否めない。

さっきの台詞・・・・・あながち間違っていないようだ。

ネビルがアルコールに弱い事は知っていたけれど・・・・流石にこれ程とは、ドラコの認知不足だ。

アルコールは体内に入り込む速度が、他の食品よりも速い・・・という知識は、雑学程度にドラコも知っている。しかし、いくらもネビルの体内に入ってしまう前に、自分が飲み込んでしまったのだから、さしてネビルに影響は無いと思っていた。

事実、チョコレートを口に含んだ時、その甘さに混じってアルコール特有の苦味を、ドラコはしっかり認識していた。しかし・・・もしかしたらアレは、チョコレートの中から既に溢れ出た後の、ネビルの口内の苦さだったのだろうか。

そんな事を思いながら、そっと視線を巡らすドラコ。

ドラコの腰を跨いだネビルの足。ミニスカートから伸びる細くて白いその足が、ほんのりと色づいて見える。これは・・・・自分の錯覚か、それとも酒のせいだろうか?

躊躇いがちにそこへ触れたドラコの手。

ネビルは小さく肩を揺らした。

「・・・・・冷たいよ」

くすくす笑ったネビルは、数時間前と違って、ドラコのその行為を咎めなかった。

 

「熱いんだろう?」

悪戯っ子のように細められたドラコの瞳。

ネビルはどこか夢見る視線でそれを見て、微笑んだ。

「うん・・・・熱いの、どうしたら良いかな?」

囁くように熱い吐息でドラコに尋ねるネビル。

バレンタインと言うイベントが、少しだけネビルを大胆にさせたのだろうか。

まるで誘っているようなその仕草。

ドラコはこの瞬間に、今夜ネビルをここから帰さないと決めた。

据え膳食わねば武士の恥。

希少価値の高いネビルの誘いに乗らないなんて、ドラコの恋人としてのプライドが許さない。

「もっと熱くなったらどうだ?・・・・・熱が出たときは、汗を流すと良いと言うだろう?」

くすっと妖艶に笑ってそう言うドラコ。その意図に鈍いネビルでも、直ぐに気付いた。

「・・・・・メイドさんに手を出すなんて、困ったお客様だ」

どこかこの状況を楽しんでいるようにくすくすと笑い、ドラコの額に自分の額をくっつけた。

「客の前で酒を飲むなんて、困ったメイドだ」

そんなネビルに苦笑して、ドラコは目の前にある柔らかい頬にちゅっと音を立ててキスをする。

目を閉じてそれを受け止めたネビルは、楽しそうに笑った。

「助平な恋人を持つと苦労するからね」

腰に回されたドラコの腕の感触に、背筋を駆け上る甘い疼きを感じながら、ネビルは腕を絡めたドラコの首筋にキスを返した。

ネビルが触れたその場所から、甘い疼きはドラコにも感染していく。

潤んだネビルの瞳に、妖艶に視線を返すドラコ。これから感じるであろう快楽を思い出したのか、ネビルは微笑んだ。

ソファーの上で向かい合わせに抱き合ったまま、2人は貪る様に唇を重ねて交わった。

 

キスの最中に、ドラコの悪戯な指先は早速愛撫を開始した。

ネビルの胸を服の上から揉みしだく。

全く膨らみの無いネビルの薄い胸。本来その行為は無意味に近いはずだった。

けれどドラコの巧みな指先と、掌の動きに、ネビルの腰は揺らいでしまう。

愛撫され慣れた身体。

アルコールのせいで熱の上がった身体。

そこに与えられるドラコの愛撫は、ゆっくりと、そして確実に、ネビルを快楽へといざなった。

「あ・・・・・はぁん・・・」

深く交わっていた唇を、焦らしながらゆっくりとドラコが開放すると、ネビルは熱い吐息と共に、甘い声を出す。

声を紡ぐ濡れた唇が愛しくて、ドラコは開放したばかりのそこへ、舌を這わした。

「んあっ・・・は・・・ぁあ・・・」

胸に与えられる刺激に、ひっきりなしに腰を揺らすネビル。行為が始まったばかりの、ゆるやかな愛撫に、早くも腰の熱を持て余しているようだ。

感じやすいネビルに微笑んで、更に快感を与えてやろうとドラコは指を蠢かす。

ふとネビルの肩越しに、テーブルの上のあのチョコレートの缶が目に入る。

少し・・・・悪戯心が湧いた。

(杖無しで・・・・可能だろうか?)

そんな事を考えながら、ドラコは視線をチョコレートの缶に据えたまま、心の中である呪文を唱えてみる。

ドラコの視界でチョコレートの缶が、小さくカタカタと鳴った。

(よし、いける)

そう確信し、ドラコはネビルへと視線を戻す。

薄く開いた赤い唇にキスをして、ネビルの身体を膝の上で反転させる。

快楽に思考の霞んだネビルは、嫌がる様子も無くドラコに成されるままに従った。

 

ドラコの膝を跨ぐ形になったネビルの足は、あられもないくらいに大きく開かされている。

ドラコは片手で服の上からネビルの胸の突起を摘み上げ、もう片方の手は乱れたスカートの下、白い太腿に這わす。

熱を持て余していたネビル、肝心な場所に近付いてきたドラコの指先を感じて、一層強く腰を揺らした。

「あっはぁん・・・・・あ・・・・はぁ・・・・・ドラコ・・・・んん」

ドラコの大きい掌は、そろそろと緩慢な動きでスカートの中に進入した。

焦らされて辛いのか、ネビルは視界に捉えられないドラコの顔の代わりに、スカートの下を蠢くドラコの手を睨む。

一方のドラコには、ネビルの表情の変化が良く見える。可愛らしい視線で自分の手元を睨むネビルに、喉の奥で楽しそうに笑った。

眉根を寄せて困ったように快楽を求めている、感じやすいネビルの表情の変化を見て、ドラコの興奮がどんどん高まっていく。

充分に焦らし尽くした所で、ドラコの手はようやく肝心な場所へと触れた。

その瞬間、ネビルは甲高い悲鳴にも似た声を上げてドラコの腕にしがみつく。

たったコレだけの刺激でこんなに乱れていては、この先の行為に進んだら泣き喚いて失神でもしてしまいそうだ。

あんな微量の酒で、よくもこんなに淫らになれるものだと、冷静な思考の隅で考えてしまうドラコ。

これからは毎回、ネビルに淹れる紅茶にこっそりと酒を仕込んでおこうか・・・・なんて、邪な考えまで浮かんでしまう。

(・・・・ん?)

耳に心地よいネビルの喘ぎ声を聞きながら、思考を巡らせつつ愛撫を続けていたドラコ。ふと、あることに気付いた。

スカートの下で、ネビルの熱を捕らえていた指先に、いつもの下着とは違う布の感触がある。

(まるで・・・・レースみたいな・・・・・・・まさか)

自分の考えをまさかと思いながら、それでも消えない疑念と感触。

思わず指の動きを止めてしまったドラコに、喘いでいたネビルは不思議そうに首を傾げた。

「ドラコ・・・・・・どうしたの?」

荒い呼吸を整えられず、掠れた声で尋ねたネビル。常と違うその声音が、凄く艶っぽい。

そんな可愛らしいネビルの様子を視界に捉えつつ、ドラコは湧き上がる悪戯心を抑えきれぬまま、ネビルのほんのり色付いた耳に唇を寄せる。

 

「ネビル、スカートを自分であげて見せろ」

少し命令口調になって、淫猥な声で囁く確信犯。

言われたネビルは、目の前の快楽に霞んで自分自身でも忘れていた事を思い出した。

ドラコの声を聞いた途端、快楽に滲んでいたものとは別の、新たな涙が生まれて頬をぽろりと伝ってしまった。

そう、これは羞恥の涙。

「僕は両手が塞がっているんだ・・・・出来るだろう?」

ネビルの薄い耳たぶを甘噛みしながら、そう言うドラコ。

縋るようなネビルの視線にも、自分の意思を曲げない意地悪で情熱的な強い視線。

数回、無言で視線を交わしたが、ドラコの意思が揺るぎ無いと悟ったらしいネビルは、恥ずかしがりながら自分の手をゆっくりとスカートへ伸ばした。

どっちみち、今ココでネビルが出来なくても、ドラコの大きい掌が薄い布を捲ってしまうのは、造作も無いこと。

わざと自分にさせる意地悪なドラコだが、自分のその仕草を望んでいるのならば・・・・喜んでくれるのなら、してあげたい。羞恥の中で、ネビルはそう思った。

スローモーションよりも遅い速度で、ゆっくりと、ネビルの震える手がスカートの裾を持ち上げていく。

片手でも出来る。小指でも出来る。そんな、簡単な仕草なのに、躊躇いと羞恥がネビルに両手での仕草を強いた。

長い時間ネビルは涙の滲む瞳をぎゅっと瞑り、ゆっくりとスカート持ち上げた。

完全にその行為が終わると、ドラコの望んだ光景が目の前にあった。

ネビルが持ち上げた薄い布。

その下でネビルの欲望の証を掴む自分の手。

白い足が伸びた先、ネビルの下着が露になった。

純白の、レースの付いた女物の下着。

恥ずかしがり屋のネビルの性格からは考えられない、完全な女装。

例え、幾重にも布を重ねた制服の下にコレを着ていたとしても、ネビルだったら人前に5分も立っていられないだろう。

なのにネビルは今日、この上にミニスカートのメイド服を纏った姿で、ココへ来たのだ。ドラコの為に。

きっと、走って逃げ出したい衝動を堪えて、周囲に奇異な目で見られないように気をつけながら俯いて、ローブの合わせ目を必要以上に握り締めて歩いてきたのだろう。

その姿を想像しただけで、ドラコは場違いに興奮を覚える。

世界中で自分1人の為だけに、ネビルが用意してくれた豪華すぎるプレゼント。

感謝と歓喜の波に飲み込まれて、眩暈まで感じるドラコ。今夜はたっぷりとネビルにお礼をしなければいけない。

 

「随分と可愛い下着だな」

くすくす笑って感想を零したドラコに、ネビルはスカートを上げた格好のまま固まって動かない。

細い肩を震わせて、羞恥を一生懸命に耐えている。きっと、自分が今日この格好を隠しながら歩いてきた長い道のりを思い出して、泣き出したいに違いない。

「可愛いよ、ネビル・・・・君に、似合っている」

微笑んだドラコ。ここで自分がネビルにしてやれる事は、決まっている。

羞恥も、無駄な思考も忘れられる、甘美な快楽へいざなってあげる事。

ドラコは止めていた手の動きを再開し、ネビルの耳を舌で嬲った。

「あぁ・・・・ああん・・やっんああっ」

途端に甘い言葉を歌いだすネビル。

一度引いてしまったネビルの熱は、一気に触発されて燃え上がる。

くちゅくちゅと聞こえる淫らな音が、ドラコの舌が奏でているのか、自分のはしたない身体が奏でているのか、そんな事すらも理解できないくらい強い快感。

「ひぃっ・・・やっ・・・ドラ・・コ・・・・もぅっ・・・やっ!!!」

大きく首を振って悶えながら、ネビルはドラコの掌の中に吐精した。

受け止めきれなかった大量のそれは、ドラコの指の間から零れ、流れて、白い下着まで汚す。

少し視線を動かすと、嫌でも見えてしまう自分の痴態から逃れるように、ネビルは涙を流す顔を、ドラコの首筋に無理やり埋めた。ドラコの耳元に、荒い息遣いが生々しく聞こえた。

「・・・・可愛い」

そんなネビルをずっと観察していたドラコは、微笑んでそう感想を零した。

「僕の為にココまでしてくれるなんて、君は勿体無い位出来た恋人だ・・・・・・そんなに恥ずかしがるな、似合っている・・・・綺麗だ、ネビル」

あやすように優しい言葉を紡ぐドラコ。

射精後の甘い倦怠感に身を委ねていたネビルは、閉じていた瞳を薄っすらと開けた。

「・・・・・本当に・・・そう・・・思ってる?」

確かめるように、咎めるように、ドラコに尋ねるネビルの瞳。名残の快楽を色濃く残した中に、少しだけ不安な色が揺らいでいた。

「あぁ・・・本心だ」

くすくす笑って、ネビルに口付けるドラコ。

優しい声と、甘いキス、そして温かく心地良い体温。そのどれもがネビルを安心させた。

「・・・・・・・良かった」

思わず漏れてしまった小さな声。

ロンの提案を慎重に考えて、ハリーにも意見を聞いて、それでも消えなかった不安がネビルの中には確かにあった。

ようやく解消された不安に、心底安心してしまった。

「不安だったのか?」

そんなネビルの心境を読み取って、ドラコが問えば、ネビルは素直に頷いた。

「うん・・・・・ちょっと」

「ちょっと?」

「・・・少し」

「・・・・・少し?」

「・・・・いっぱいちょこっと」

「変な言葉だな」

「うん」

酷く甘い空気の中で、静かな言葉のやり取り。

穏やかなこの時間を、一緒に過ごせる幸せを2人はひしひしと実感し、吟味する。

 

「さて・・・・・続きをしようか?」

ネビルの呼吸が普段の調子に戻ったのを確認し、ドラコは聞いた。

しっかり、はっきり促されて、ネビルは恥ずかしそうに小さく頷く。

ミニスカートやフリルの下着でドラコを煽りまくった自覚はあったし、自分だけが気持ちよくなってもなんだか後味が悪いような気がして・・・・。言ってしまえば、ネビルは正直にドラコとのセックスが好きだと、そんな単純な事。

家族と言う血の繋がりなんかよりも、ともすれば強いと思える恋人の絆。

でも、信じているだけでは辛いから。時々、こうやって触れて、確かめていないと不安になるから。

求められるだけでも、求めるだけでもいけない。

お互いに欲して、初めて成り立つ関係、行為。

素直に自分に身体を預けてくるネビルに、ドラコはとても楽しそうに笑う。

抵抗されるとますます興奮する・・・・とか、そういう危ない性癖も併せ持っているドラコだけれど、今日の様にネビルから誘う仕草を見せた時の方が、幸せそうな顔をしている。

それを知っていて、その顔を見たくて、無自覚なフリをして誘うネビルは、確信犯。

いつもの色気の無い格好では限界があるけれど、今日は特別な日だから・・・・少しハメを外して、ドラコを誘ってみたりした。

半分本気、半分不安。ネビルにとっては大きな賭けだった。

ネビルの身体を後ろから抱き締める格好になったドラコ。長く巧みな動きをする手が、ネビルの気乱れたメイド服を更に淫らに乱していく。

「ん・・・はぁ・・・・・・ふ・・んん・・・・・あっ・・」

ゆっくりと上げられていく身体の熱に、ネビルは熱い吐息をひっきりなしに紡ぐ。

無意識に伸ばされた白い指は、ドラコのシャツを緩く掴んで離さない。

まるで存在を確かめているように、居なくなる事を危惧しているように、縋る無意識のその行為に、ドラコは微笑む。

指先で胸の突起を慣れた仕草で弄り、追いたてながら、もう片方の手でネビルの片足を持ち上げて、器用に下着を脱がしていく指先。

ぼんやりとその様子を傍観してるネビルには、ドラコのその行為が魔法か何かにしか見えない。

そうして露にされた自分の足の付け根。

ドラコを受け入れる場所。

こんな・・・・本来の用途では無い場所に、どうしてドラコを受け入れて、尚且つ気持ち良いと感じるんだろう。

いつも不思議に思う。その一方で、少しだけ嬉しかったりもして・・・・気持ちは複雑。

自分は淫乱、穢れていると思うのに。その事が嬉しいなんて・・・自分でも制御不能の思考が存在している。

 

与えられる快楽を受け止めながら、思考を巡らせていたネビル。

状況の判断を上手く出来て居なかった彼は、ドラコのしようとしていた事に、気付くのが遅れた。

気付いた時には、蕾の入り口に異質な物が押し当てられていた。

「ひゃっ・・・・何?」

冷たい感触に驚いて、肩を大きく揺らしたネビル。

自分の下半身に伸ばされたドラコの腕が邪魔をして、その正体を見る事が出来なかった。

小さな悲鳴と共に、直ぐ傍にあるドラコの瞳をじっと見た。

一体何をしようとしているの?

狼狽に揺れるネビルの瞳を、真っ直ぐ受け止めてドラコは口元に意地の悪い笑みを貼り付けた。

「僕の愛撫に空気分でいるなんて・・・・余裕だな?」

くすくす笑ってそう言った。

少しだけその自覚があったネビルは、困ったように眉根を寄せた。

「だから・・・・僕の事だけに集中できるように、良いものをやる」

どこか楽しげに、そして残酷なくらい綺麗な笑みでそう言ったドラコ。

言ったそばから、ネビルの蕾に宛がわれた「何か」が、ひくつく入り口を押し開けて進入してくる。

「やっ・・・・ドラコ・・何?・・・こわ・・・ひぃん」

恐怖と不安に青ざめたネビル。ドラコの行為を止めようと紡がれた台詞が、悲鳴にも似た自分自身の声に遮られた。

はじめからネビルの言葉に耳を傾ける気など無かったドラコが、ネビルの中に異物を完全に押し込み、更に指で奥まで侵入させたからだ。

ドラコの指に押し込まれた「何か」は、ネビルの体内の熱に徐々に溶け出す。

「や・・・・あぅ・・・・何?」

その奇妙な感覚に、ネビルは目尻に涙を溜めてドラコに異物の正体を問うが、ドラコは笑うばかりで答えてくれなかった。

そうこうしているうちに、更にもう一個ネビルの中に入ってきた「何か」。

「ぃや・・・・ドラコっ・・・止めて、・・・・もぅ入れないで!!」

恐怖と不安に、首を振って泣き喚くネビル。

ドラコは何も答えぬままに、4つの異物をネビルの中に納めた所で、ようやく凶行を中断した。

 

「たくさん入ったな」

泣いているネビルとは対照的に、楽しそうにそんな事を言うドラコ。

「何だかわかるか?」

そんな事を問われても、ネビルには見当も付かなくて、ただ泣き喚くばかり。

涙を零す瞳と同じ様に、蜜をこぼしているネビルの股間。

蕾に押し込まれた異物は、間違いようの無い快感をネビルへと与えていた。

ネビルの体内で溶けだしたそれと同じ様に、ネビルの腰も既に溶け出していると言っても良いかもしれない。

ドラコの指が異物を奥へと押し込むたびに、卑猥な水音を奏でては、体積を増してしまう欲望。

恥ずかしさから、ネビルは瞳をぎゅっと瞑って、ドラコの問いに首を振って答えた。

「そうか・・・・・まぁ、すぐにわかる」

どこか楽しげな雰囲気を崩さぬまま、ドラコはそう言ってネビルの中から指を引き抜いた。

指の動きに合わせて収縮した内壁が、体内に残された異物の存在を改めてネビルに認識させた。

「次は、コッチだ」

喉の奥で笑いながら、ドラコはそう言って、取り出した自身をネビルの入り口に宛がった。

体内に4つも異物を含んだままで、ドラコの大きなソレを入れるなんて・・・・ネビルにはとてもじゃないが理解できない。ドラコだけだって、いつも失神してしまいそうになるぐらい、苦しくて。気持ち良いのに・・・・それ以上の感覚なんて、怖くて耐えられそうに無い。

「嫌っ・・・ドラコ、抜いて・・・中の、入ったままじゃ・・・いや・・・・お・・願い・・」

恐怖に溢れた涙をそのままに、ネビルはドラコに必死で哀願した。

「駄目だ」

そんなネビルに、場違いに優しいキスをして、ドラコは先端をネビルの中に押し込んだ。

じゅぷり・・・と、やけに大きく卑猥な音がネビルの耳に響いた。

「あはっ・・・はぁん・・・・熱っ・・・あついぃ・・・あっあぅ、嫌っ・・・・駄目ぇ・・・」

恐怖と共に、思考を全て持っていかれそうな強烈な快感を感じて、ネビルは背を大きく仰け反らせて鳴いた。

その背をしっかり受け止めて、ドラコは更に腰を突き上げる。

「ああぁ・・・・ひぃ・・・やっあ・・・あぁぁっ」

ドラコの灼熱の猛りだけでも狂いそうな快感なのに、ドラコに押し込まれていく異物が、ネビルの奥へ奥へと侵入してくる。

腰を振り、背を反らし、涙に濡れた声で乱れるネビル。

いつもよりも熱く、締め付けのキツイ内壁に、ドラコは満足げに微笑んだ。

 

「気持ち良いか?」

耳元で意地悪く問われる声。そのドラコの声が掠れていて、妙に艶っぽい。

声を聞いただけで、ネビルの身体にゾクゾクとした快感が駆け巡る。

次々に襲われる強烈な快感の波に、ネビルはドラコの問いに答えられない。答える余裕なんて無い。

「僕は、凄く・・・・良い」

くすりと笑ったドラコは、そのまま完全にネビルの中に自分の猛りを埋め込んだ。

自分の体重と、ドラコの力強い腕に腰を掴まれていたせいで、一気に奥まで飲み込まされたネビルは、折れそうなくらいに背を反らして、快楽の悲鳴をあげた。

ネビルの身体の、誰にも犯されたことなど無い、際奥の際奥。そこまで押し入れられた、溶けた異物がネビルの内壁に押されて潰れ、中から何かが一気に溢れ出てきた。

「いやぁぁぁっ・・・・熱い・・・あついよぉ・・・ドラコっ・・・助けて、・・・・苦しぃぃっ」

襲い来る熱と快感、そして苦しいほどの圧迫感。

感情と感覚の狭間で、ネビルは泣き喚く事しか出来なかった。

「泣くな・・・・君を傷付けたりはしない、・・・大丈夫だ、僕に全て委ねろ」

快感よりも恐怖が占めているネビルの心を、直接癒すように言葉をかけて、ドラコは微笑んだ。

無理な抜き差しは行わず、ネビルが落ち着くまでそのまま細い身体を抱き締め続ける。

その甲斐あって、ネビルは徐々に落ち着きを取り戻し、泣き喚いていた悲鳴も、静かな嗚咽へと変わった。

「愛している」

そんなネビルにかけられたのは、唐突な愛の囁き。

言われるまでも無く、知っているドラコの気持ち。

けれど、その言葉があるのと無いのとでは、違う。

ドラコの声や仕草には、ネビルを癒し、落ち着かせる不思議な効果が含まれている。

 

「ふぅ・・・あ・・・ドラコぉ・・・・うぇ・・・ふぁ・・」

ボロボロと涙を零し、必死でドラコに縋るネビルを、ドラコはゆっくりとした動作で優しくソファーにうつ伏せにさせた。

後ろから抱き締める体勢自体は変わらないが、不安定な体勢ではなくなって、ネビルの身体は大分楽になる。

「好きだ・・・愛してる」

耳元に甘く囁きながら、何度もキスを繰り返す。

「んっ・・・・はぁ・・・・あぁ・・・」

陸に上がった呼吸困難の魚みたいに、ネビルは不規則な呼吸を繰り返した。

その間にも、体内に埋め込まれたドラコの熱を無意識に締め付け続ける。

何時の間にか、ドラコの入れられた異物は4つとも全て溶けてしまっていた。

今、ネビルが感じているのは、いつもよりも熱くて大きい、ドラコの欲望だけ。

「動いても・・・・・良いか?」

腰を少しだけ揺らめかせて問うドラコに、ネビルは小さく頷いた。

ドラコ以外のものを感じなくなった蕾。

恐怖は去った。

ドラコの熱を、もっと感じて、不安も恐怖も、微塵も残らないくらい快楽で満たして欲しい。

「愛している」

愛しいネビルにもう一度囁いて、ドラコはネビルの腰を掴んで自身の抜き差しを開始した。

「あっあぁ・・・あん・・・んあぁ・・・あふ・・・・んっ・・・やっああぁ」

快楽に零れる甘い声。

捲り上げられたスカートの下、露になった白くて小さなネビルのお尻。震えるそこに、赤く色づく濡れた蕾。そこを犯す、張り詰めた自身の凶器にも似た猛り。

中で感じる、狂おしいほどの熱と締め付け。

噎せ返るくらいに周囲に満ちた、甘い匂い。

ドラコの五感は、ネビルだけに集中し、完全に犯され支配されていた。

 

 

強制終了

 

終わりが見えなくなってきたので、無理やり切りました・・・すみません(苦笑)

表の続きのバレンタイン???←最早関係ない、ただのエロ作文。

察しの良い皆様だったら、ドラコがネビルに悪戯に入れたものの正体はお分かりかと・・・。

すみません。書いているのが楽しかったです(笑)

逃げ。

2005・02・20 みづきちよ

 

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